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俺は今まで死んだ後のジェームスディーンのようにちやほやされていた。生まれたときからずっとそうで、自分の特別さに気がつくこともなく大人になった。子分共に慕われているのも当たり前だと思っていた。武闘派のあいつにしても同じこと。俺はいいように利用していただけだ。それでいいんだ。俺はそういう存在なんだ。
けれどあいつは違っていたはずだ。俺を普通の男と感じていた。正体がバレてからも、普通に接してくれた。俺ってちっぽけなんだと、あいつといるといつも感じる。だからあいつは、刺激を求めたのか? あいつはまるでノーマジーン。
それにしても今回はやりすぎだ。
俺はあいつを追いかけ、車を奪った。あいつがしたことを真似たまでのこと。あいつも車で逃げている。どうする? このまま突っ込んで殺してしまうか? 俺はもう、我慢はしたくない。
我儘放題と思われているこの俺だけど、生まれてからずっと我慢し続けてきた。わかるだろ? ヤクザの一人息子なんて最悪だ。街を歩けば子供の頃から厄介者扱い。学校では先生共から煙たがられ、同級生や上級生からは妙な憧れを抱かれる。親父や親父の取り巻きは、俺を跡目にしようと必死だった。俺には、生まれたときから自由なんてなく、常に誰かの視線にさらされ生きてきた。最悪の人生だ。俺は俺を偽り、我慢をする為に生きてきた。ヤクザの息子を演じるのは、辛いんだよ。
あいつだけが俺の自由だった。あいつといるときの俺は、自然だった。素の自分で居られるのは、あいつといるときだけだ。特にはなにもない女だけど、隣を歩いているだけで幸せを感じる。手を繋いでいてもいなくても、あいつは笑顔で俺の側をふらつくんだ。自由な女。俺も自由になれた。




