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 しかし、彼はジャコパスを知って落胆した。ベース界の神と言っても過言ではない存在。それなのに、更なる高みを想い描き、到達できない自分に怒りを感じ苦しんでいた。その結果、命を落とすように酒に溺れていく。彼にとって、ジャコパスは今でもスーパースターだ。

 ジャコパスを流すバーは、彼のシマにある。毎晩のように通う彼が、今まで出会わなかったあいつに出会ったとき、彼の運命が変わった。もちろん、最悪な方向に。

 あいつに彼が惚れるのに時間はかからなかった。一目惚れってよくある話。というか、一目惚れ以外は全てがまやかしだ。後付けの恋に意味はない。彼は一目見た瞬間から、動き出していた。迷いなんてない。彼女に向かって一直線。一緒に飲もう。心の中で語りかける。そっとカウンター席の隣に座ってウィスキーをストレートで注文する。グラスが揃うまで語ることはしない。彼女を見つめ、音楽を楽しむ。グラスが運ばれてくると、そっと目線まで持ち上げ口に運ぶ。彼女も同じ仕草をする。一杯目のウィスキーは誰もが喜ぶ甘めの十八年もの。二杯目に彼はちょっと臭みのあるピートが強めの十二年を注文した。彼女が嫌がると想像していたが、意外にも気に入ってしまった。彼が強く惚れた理由がそこにもあった。

彼女との会話は新鮮だった。彼のことを全く知らない彼女は、彼に媚を売ったりはしない。普通の一人の男として対応してくれる。しかも、趣味が合う。音楽も酒も映画も、そのつかみのポイントが同じだった。お互いに知らない部分を補える知識の共有。最高の女だと感じていた。

 しかし現実は違っている。彼女はほんの少し人の心が読めるだけ。彼の心を読み、それに従って相手をしていただけだ。彼はそれを勘違いしたにすぎなかった。

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