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 彼は三度目の依頼でしてはいけないことをしてしまった。本来なら会社をクビになってもおかしくはないが、依頼者の意向もあり特に問題にはならないで済んでいる。

 彼はそれまで通り依頼を受け、想いを告げた。しかし、そこからが普通ではなかった。想いを受け取った相手は当時大学生で、彼の容姿とその言葉にウットリしてしまい、その言葉を彼の気持ちとして受け入れてしまったのだ。

 その相手はとても可愛かった。ミスキャンパスに選ばれるほどに可愛かったが、彼女自身がそれを拒否していた。そんな、見た目だけでなく心も可愛い彼女だった。

 彼女の返事は単純だった。その言葉に対してはOKだ。しかし、依頼者に対してではなかった。彼は戸惑った。どう答えればいいのかわからなかった。簡単に断りを入れればそれでお終い。依頼者にはごめんなさいの返事を届ければいい。けれど彼は、そうはしなかった。心に素直に動く。それが彼の心情だった。君に興味がある。付き合いたい。けれどこれは仕事だから、依頼者にはきちんと説明しないといけないんだ。どうすればいいんだ? 僕にはわからない。そう言ったんだ。彼女は答えた。だったら私も一緒に行く。行ってきちんと説明するから。きっとわかってくれるよ。だって、その人は私のことが好きなんでしょ? そう言って彼に最高の笑顔を見せていた。

 彼はバイクに彼女を乗せて依頼者の元に向かった。といっても彼のバイクは配達用で普通なら後部座席には人を乗せられない。そこで彼は荷台を外してそれを大学の教室に置いて行き彼女を乗せて走り出した。彼はこのときすでに彼女に夢中になっていた。

 私は彼を愛しているの。彼女は恥ずかしげもなくそう言った。出会って一時間も経っていないのに、それが当たり前だと感じていた。だからごめんなさい。あなたの気持ちは受け入れられないの。彼女のそんな言葉に依頼者はほんの少し戸惑った。どういうことだ? 必死に今の現実を考える。そして答えを見出した。なんとも都合のいい話だが、彼女の気持ちを尊重した。依頼者の彼女への愛はそれほどに深かった。しかし、それほどにはしつこくなかった。

 彼はその全てを会社に伝えた。そして辞めるつもりで彼女と付き合うことも伝えた。会社側は驚きと共に戸惑いを露わにした。彼はライダーとして優秀だったし、気持ちの配達については彼にしか出来ない仕事になっていた。そこで依頼者に連絡を取り、彼についての話をし、依頼者側から彼が優秀な配達人であるとの言葉を聞き、こんなことでクビにはしないでくれとの言葉を聞いた。

 その後も彼は気持ちの配達を行っている。評判がよく、テレビにも取り上げられた。そのおかげなのか、依頼は増えている。同日に依頼が重なることも予想されたため、会社の方針で後身を育ててもいる。彼には今三人の部下がいて、依頼を四人で振り分けている。

 今日の彼には普通の配達しかない。気持ちの配達依頼は今日もあるが、数分前に部下が無事に仕事をこなしていた。不思議なことに、成功率は異常に高い。今までで半数の依頼で成功している。

普通の配達は簡単だ。地図が頭に入っていて、交通状態を把握していればそれで問題がない。まぁ、そこが難しいとこではあるが、彼のように経験を積んでいれば問題がない。

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