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 プロ野球は今、彼が生まれる以前のその昔とは違い、小規模に続けている。一リーグ制になってはや数十年、観客数は人気のチームでも数千人がやっとだ。高校野球は今やテレビ中継されず、スポーツニュースで優勝校の名前を告げるだけ。プロを本気で目指す子供は年々減っている。年棒も最盛期の一割程度、魅力が少ないスポーツになってしまった。

 息子がどうしてもプロ野球の試合を見たいといったとき、彼は困った。まずどこで試合をしているのかがわからない。それからどうやってチケットを手に入れるのかもわからなかった。知り合いに聞いても彼の周りでは誰一人知っている者がいなかった。

 彼は諦めていた。息子には悪いが、あまり興味もなく、必死にはなれなかった。しかし、彼の息子は諦めなかった。野球チームのみんなに声をかけ、監督にもお願いをした。手に入れる方法をどうしても知りたくて試合の相手チームにも聞いていた。すると、そんな様子を見ていた審判の一人が彼の息子に声をかけた。息子にとっては初めての公式戦での先発出場。試合に勝ったら譲ってあげてもいいよ。そんなことを言われても素直には喜べなかった。チームはこれまで練習試合でも一勝をあげたことがなかったからだ。不安は息子の投球だけではない。チーム全体が初心者集団のようなものだった。流行りに乗っかって出来たばかりの新興チーム。監督さえも素人だった。

 しかし、息子は頑張った。どうしてもチケットが欲しかった。自身で得点もあげた。ファーボールで出塁をして盗塁を重ねた。確かに息子は足が早かったが、得点をした理由は別にある。相手チームもまた、素人の集まりだったのだ。そんな野球チームは多い。大会に出場している半分はここ一・二年に出来たかばかりのチームだ。

 一対0で息子のチームが初勝利を挙げた。息子は勝利の瞬間すぐにマウンドから審判のもとに駆け寄った。そして、約束通りチケットをもらうことができた。お金はいらない。勝利へのプレゼントだという。家族分も含めて四人分。その場で受け取った。後で知ることになったのだが、この審判はいつも野球のチケットを数枚は胸に隠している。息子のような野球好きを選んでは課題を与えてはチケットをプレゼントしていたようだ。

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