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十四、吉沢一家 正治(42) 美佐(39) 佐江(17) 良正(11) 1

   十四、吉沢一家

      正治(42) 美佐(39) 佐江(17) 良正(11)


 車の中、他愛のない会話で盛り上がる家族。学校のこと、テレビのこと、友達のこと。意味はなくても楽しい時間が過ぎていく。家族の会話はいつでもそうだ。そこでそうしているだけで楽しくなる。

 彼の車ではいつも音楽が流れている。子供達が好きな最新の曲だったり、彼が好きな昔の曲だったり、楽しめる曲ならなんでもOKだ。みんなで大合唱をしたり、会話のBGMになったりと、大活躍の曲が今日も流れている。

 音楽なんて楽しければいい。彼はそんな想いで子供達がまだ赤ん坊の頃から様々な音楽をかけていた。子供には難しい言葉や陰気なメロディーも気にはしない。楽しめればなんでもありだ。楽しむっていうのはなにも踊ったり大合唱をしたりするだけじゃない。泣いたり考えたり怒ったり、あらゆる感情を呼び出すことが楽しいんだ。歌詞やメロディーが奥深いとか素直だとか、そんなのはどうでもいい。難解な音楽なんてそもそも存在しない。全てが単純なんだ。わざとらしく作り込んだ音楽なんて楽しくもない。奥深い歌詞やメロディーは、そうと意識をして作るものじゃない。聞く側が勝手に判断をするだけだ。作り手はいつだって単純に思いのたけを発しているだけなのだから。わざとらしさは聞く側に伝わってしまう。一瞬は騙されても、永遠には残らない。ヒットチャートを駆け上がっても、人々の心に残っていない音楽も多い。彼はそんな音楽には興味がない。楽しむことこそが音楽なんだ。あらゆる感情を楽しむんだ。

 今日もそんな音楽が車に流れている。

 息子の良正は少年野球チームのエースだ。将来はプロを目指している。今日はこれからプロ野球の試合観戦。良正が好きなチームを始めて観に行くことになっていた。

 彼は子供の頃から野球があまり好きではなかった。理由なんてない。父親があまり野球に興味がなく、テレビでも見たことがなく、野球場に行ったことは一度もない。友達との間でもあまり人気はなく、スポーツといえばサッカーかテニスという時代だった。息子が野球をやりたいと言ったとき、彼は少し驚いた。どうして? という疑問よりも、どこでそんなスポーツを知ったのかと不思議に感じた。残念なことに、彼が子供のときの野球人気はとても低く、テレビ放送すらしていなかった。スポーツニュースでの扱いも小さく、今では人気が高まりはじめた影響でテレビでの試合中継もまれにしているが、スポーツ新聞でも写真なしで三十文字くらいの記事が乗る程度だった以前のバスケットリーグのようなものだ。そんな野球に彼の息子が興味を持ったのは、子供向け漫画で久し振りに野球が取り上げられ、そこそこの人気を得てアニメ化されているのを見たからだ。本当の意味で大人気とはいえないのは、その人気が子供達限定だからだ。大人にまではまだ届いていない。だから彼は驚いた。

 しかし野球人気は確実に広がっている。小学生を中心に野球チームが増え、その一つに彼の息子は所属している。

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