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 どちらからともなく顔を見合わせ、同時にうなずく。運転席側のドアに手を掛けたのは彼だ。相棒は後部座席側のドアに手をかけた。

 あれ? たまにあることだが、運転席側の鍵がかかっていない。少しの不安を感じたが、気にせず中に乗り込んだ。後部座席側のドアは鍵がかかっている。相棒が声を出し、彼が中から鍵を開けた。その際、助手席側のドアは鍵がかかっていないことを確認した。この車に乗っていたのは二人だなと彼は考える。カップルか? それにしては地味な車だ。外見も中身もおじさん臭い。こんな所に停めてどこに行った? 放置していったのか? だったらナンバーくらい外すだろ! なんてこと考えながら彼は車内を物色している。この国ではあまりないけれど、というか今の時代はどこの国でも珍しくなっているけれど、車内に鍵が隠されていることもあることはある。財布や携帯なんていうのは今時だ。ときには弁当が忘れられていることもある。彼はその弁当を相棒と仲良くなんの疑いもせずに食べたことがある。結果、彼はなんともなかったが、相棒は腹を壊した。そんなことを考えながらダッシュボードを開けると、なにか重たい雰囲気の塊が目にとまった。長い間車泥棒をしているけれど、見たことのない代物だった。嘘だろ? これじゃまるで古びたアメリカ映画のようだ。彼は重たい拳銃を手に取り、相棒に声をかけた。

 なぁおい! こいつは本物じゃねぇか? 彼は興奮を隠せなかった。本物の拳銃を触るのは初めてで、怖さと嬉しさとが同居した感情をコントロールすることができないでいた。

 誰か来るぞ! 相棒の声が聞こえたような気がする。振り向くとそこに相棒の姿が見えない。どこに隠れている? そう思い後部座席を覗き込もうとした瞬間に、運転席側のドアが開いた。

黒いスーツ姿の男が目の前に立っていた。サングラスをかけていたけれど、笑っているのが伺えた。彼に拳銃を向けている。彼の手が震えた。手に持った拳銃が音を立てている。彼もまた拳銃を構えようとしているようだ。しかし力が入らない。こんなに重かったのか? どんなにがんばっても手にはなんの感触も現れなかった。ガタガタ震えている振動さえ彼には伝わっていない。

 黒いスーツの男は、なんの躊躇もせずに引き金を引いた。車内に響く銃声、彼は即死だった。

後部座席の相棒は少し前から男が近づいてきていることに気がつき、身を丸めて隠れていた。当然彼に危険を知れせる声をかけてもいた。しかし興奮状態だった彼には届かない。隠れる暇はなく、眉間に穴が空いてしまった。恐怖の中、その場の恐怖しか感じず、走馬灯も見ず、彼はこの世から消えてしまった。あの世があったとしても、彼はあの世にさえ辿り着けなかったはずである。

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