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 今この瞬間も彼らは悪さをしている。生活のためとか、悪いことへの興味があるとか、そんな大層な理由ではなく、ただの暇潰しでしかない。車を盗む理由なんてそんなものだ。盗んだ車でドライブする。若い娘をナンパして楽しむ。そのままホテルに行って、朝になったらトンズラする。もちろん財布を盗むのは忘れない。今日も二人はそんなつもりでいた。

 川原沿いの道路を歩いていると、原っぱになっている空き地に一台の車を発見した。不自然な車だと感じる。こういう場所にあるのは古びて錆びついている誰かが乗り捨てた車ばかりだ。どう頑張っても動きそうにない鉄の塊。しかしこの日、そこには新車ではないがまだまだ新しく手を加えなくても鍵さえあれば動きそうな車が停めてあった。中に誰かがいるかもしれないと、ゆっくりと近づいて行く。こういう場所ではたまに、若いカップルやそうではない訳ありカップルがお楽しみの場合もある。しかし、そういうのとは明らかに雰囲気が違っていた。そういう車ってのは、もう少し人目につく場所に止まっているもんだ。こんなにも奥深くで身を隠すのは、やはり普通は鉄の塊と化した車ばかりなんだ。けれど二人は、少しの不安を感じながらも、中では若いカップルが楽しんでいることを期待しながら近づいて行く。本当にそうであるなら、そんなときは少しばかりの鑑賞を楽しみ、その後のいいタイミングでタイヤをパンクさせて逃げて行く。不用意にドアを開けて襲いかかるほどの度胸はない。もっとも、そんな度胸はなくてもいいのだが。しかし、近づけば近づくほどに感じる。この日の車にそんな雰囲気はない。近所に遊びにでも来ているのか? 何処かで盗んできたのをこのまま放置するつもりなのか? よくはわからないけれど、彼の不安が高まっていく。

 誰もいなければ盗めばいい。誰かがいれば逃げればいい。彼は相棒とそんな相談をしながら車に近づいていく。その途中で誰かに見られていないかと辺りを気にする様子は滑稽だが、原っぱの車に近づく様子を見られるのは危険なことだ。真っ昼間に若者二人。とても目立つしとても怪しい。

外から慎重に車の中を覗いてみる。誰もいないようだ。車がここに停まってから数時間は経っていると二人は考える。マフラーの余熱から割り出しているようだが、ほぼ山勘にすぎない。

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