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翌日、彼女へのいじめが止むことはなかった。というよりも、酷くなったというべきかもしれない。表面的ないじめはなくなったが、誰も彼女と口を聞かなくなった。先生さえも、彼女には必要以外の声をかけなくなっていた。
それでも彼女は気にせず学校に通い続けていた。休みたいといえば母親が騒ぎ立てる。それが一番怖かった。当時の彼女はそう感じていたはずだった。
そんないじめは中学時代にも続いていたが、気がついたときには元に戻っていた。きっかけなんてなにもなく、自然に友達ができ、広がり、誰からも無視されることはなくなった。ただそれだけのことだった。
彼女へのいじめが楽だったわけではない。無視されることはとても辛く、生きる意味をなくしてしまうことさえある程だ。実際にそんな想いで死を選ぶ人も大勢いる。
しかし彼女は天然でいじめをいじめとして捉えず、いつも通りの毎日を過ごすことができていた。そのため彼女にはいじめられていたという認識がほとんどなく、その出来事を忘れてさえしまっている。
だけどなんであの子がいじめられているのかしら? 頭だってそれ程は悪くないし、顔だって可愛らしい。喧嘩だって強いのに。
いじめの原因なんてなんでもいい。彼女がいじめられた原因も、あってないようなものだったのだから。頭がいい、顔がいい、喧嘩が強い。それだって立派ないじめの原因になりうる。
そういえば、あの人も昔いじめられていたって言ってたわよね。最近は仕事が忙しいみたいでまともに会話もしていないわ。田舎には一緒に行くんだから、その前にあの子のことを相談しないといけないわね。力になってくれるかしら? 当然よね。あの人だって、やっぱりあの子を愛しているはずなんだから。
彼女と主人は、深い秘密を一つ抱えている。息子は当然だが、彼女と主人の両親ともに知らない事実がある。
あの人がいい人でよかったと思う。あの子を今でもずっと愛してくれているんだから。二人目ができなかったのは残念だけど、私は本当に幸せだわ。




