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 そういえば、その頃かしら? 友達と喧嘩をして相手に怪我をさせたと学校に呼び出さられることがあった。話をよく聞くと悪いのは相手の方だった。喧嘩をしかけたのも、その原因を作ったのも、先に手を出したのも相手側だった。ただ、あの子の方が強かった。

 その後も何度か喧嘩をしたり小さな悪さをしたりして学校から連絡を受けることはあった。いじめをしているとか、受けているとかの噂も聞いている。けれどどちらも所詮は噂だった。あの子は笑顔で全てを否定する。

 それがいつの日からか、全く口を聞いてくれなくなった。あの子の笑顔をもう一年は見ていない。最後に見たのは、卒業式の次の日。遅めに目を覚ましたあの子が食卓に顔を出したときだった。お腹が空いた。そういいながら笑っていた。なにが楽しいの? と聞くと、だってもう学校に行かなくていいんだよ。とさらに笑顔を膨らませていた。

 彼女は当然のように息子を愛し、よく見ていた。しかし、彼女が見ていたのは表面だけで、中身はあまり見ていなかったようだ。息子の言葉に対しても、その真意を見ようとはしていなかった。息子からの簡単なサインにも気がつけないでいる。

 牧場にはなんとしてもあの子を連れて行かないとね。いじめを受けているなら一緒に闘わないと。こういうのは家族全員の協力が必要なのよ。私も子供の頃いじめられていたけれど、お母さんがその子の家に電話をしてくれて、次の日からいじめがなくなったことがある。子供のことに親が口出しするのはよくないなんて古いのよ。本当ならいじめている本人に私から注意するべきよね。その為にも、誰にやられたのかをまずは突き止めないといけないわ。

 彼女は忘れている。自分がいじめを受けていたその理由を。そして、母親が電話をした次の日の現実を。

 いじめの原因は彼女が特定の子を無視していたからだ。彼女自身にそのつもりはなかったようだが、まるで見えていないかのように振舞っていた。というか、現実に見えていなかったのかも知れない。

 しかしその子は、彼女に嫌われていることを嫌い、クラスメートを巻き込んで彼女をいじめていた。小学校高学年の話で、当時流行っていたカードをクラス中にばらまいた結果集まったいじめっ子たち。

 彼女の母親がいじめに気がついたのは、理由もなく学校を休みたいと彼女が言ったからだ。わかりやすいサインにピンときて、その日のうちに学校に電話をかけ、彼女を連れて乗り込み、いじめの事実を伝えた。学校側は曖昧な返事と無意味な謝りの言葉を繰り返していた。

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