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いたずら

 サクラは同期の子たち(特に女子)とは仲が良くなかった。

 瑠菜の弟子についてからというもの、周りからの視線を気にすることがあまりなくなるくらいには見られたりしてきたが、それが仲良くなるきっかけにはほとんどならずにむしろやっかみを受けてきていた。

 そのため、みなこが来て悪口を言っている間は仲の良い子ができたのだと錯覚してしまっていた。

 もちろん、雪紀に止められて瑠菜にすべてを話したあの日からはみなこの悪口など言っていない。

 何ならみなこがかわいくて仕方がない。

 しかし、そのおかげでサクラへの風当たりは前よりも少しひどくなった。

 リナや龍子が周りにいるため、あからさまに手を出してくる子はいない。

 二人のおかげで一人になることもない。

 それでいいかと思っていたのだ。


 「サクラちゃん、これ運んでおいて。」

 「え?あ……どこに……。」

 「考えてよ。」


 サクラは一人で資料を持ったまま立ち尽くした。

 瑠菜からいつも持ってくるように頼まれるような資料ではなく、法律や環境について書かれたとても古いものだ。

 黄ばんでいて虫食いにもあっている資料はどう見てもいつもの資料室に置いてあるものではないし、どこへ運んでいけばよいのかわからない。


 「サクラ、どうした?」

 「あ、龍子君。これ、どこに運んだらよいのかわからなくて。」

 「え?瑠菜さんがそんな本読んでるとこ見たことないけど……。」

 「頼まれちゃって……。」

 「うぅーん。これは法律を専門にしてる人のとこだな。誰だっけ?雪紀さん関係じゃないから俺も縁がないんだよなぁ。」

 「そうですか……。」


 龍子は首をかしげながらサクラの持っている資料を見た。

 サクラもどうしようか迷いながら周りをきょろきょろした。

 もちろん、助けてくれる人などいない。


 「誰が運べって言ったんだ?」

 「えっと……それは……。」

 「別に、自分の師匠が頼んだ仕事以外はする必要ねぇだろ?」

 「無視していいんでしょうか……。」

 「いいんじゃね?なんか言われたら瑠菜さんたちのとこに逃げ込めば向こうも何もして来ないだろうし。」


 龍子はそういうとそのまま走って仕事に戻って行った。

 楓李からの呼び出しがあったのだろう。

 サクラはそれを見送ってから近くにあった台の上に資料を置いた。


 もともと会社へ届け物をするように瑠菜から頼まれていて、今から帰るところだったのだ。

 別に帰っても問題はない。

 何なら「遅い」と瑠菜に一言言われてもおかしくはないくらいだ。


 「おっと……え?ひも?」


 サクラはそう言って上を見上げた。

 紐に足が引っかかって、少し転びそうになっただけで転ばなかったことに安心したのだが。


 「ひぇっ!」


 バッシャーンという音が周囲に響き渡り、サクラはもちろん近くの代に置いた資料も、床に敷いてあったカーペットもびしょびしょになってしまった。

 何なら、サクラを中心に水たまりができているくらいだ。


(え?……何が……。)


 周りのクスクスとした笑い声でサクラは恥ずかしさを覚えて、その場から逃げ出したくなった。















 「また?もぉ、どんだけ失敗すれば気が済むわけ?」

 「すみません。」

 「結構昔の資料10万円と相似比5万円ね。」

 「あの、もう少し安くなりませんか?」

 「あ?」

 「なりませんね。はい、承知いたしました。私の給料から引いてください。」


 瑠菜はそう言って上代社長に頭を下げた。

 社長は満足そうに笑って瑠菜の給料から15万円を引く。


 「えぇ、もういいわよぉ。帰ってちょうだい。もう来ないようにね。」


 社長はさっさと瑠菜とサクラを追い出すと社長室でガサゴソと何かしていた。

 絶対自分の懐に入れてるとサクラは思ったが、文句の言いようがないため黙った置くことにした。

 もとはといえばサクラが水をかぶらなければこんなことにはならなかったのだ。


 「まさか転ぶなんてね。帰ったらお風呂入りなさい。」

 「……怒らないんですか?」

 「怒ったら濡れた資料と撮られた15万円が返ってくるの?」

 「……そうですよね。」


 サクラは最初、転んでいないと訴えていたが、周りで見ていたという人たちがみんな転んだと言っていたため何も言えなくなってしまった。

 何なら自分は本当は転んでしまっていたのではないかと思ってしまうくらいだ。


 サクラがびしょぬれになってから数分後に何事かと上代が来て、サクラはすぐに社長室へと連れていかれた。

 そして、瑠菜が呼ばれたのだ。

 瑠菜は呼ばれた理由をしっかり伝えられていたのか、上着を一枚持ってきてくれた。

 そして社長室についた瞬間、その上着をサクラに渡してそのまま上代に謝ってくれたのだ。


 「ただいま帰りました。」

 「おかえり、災難だったな。お風呂沸かしておいたぞ。」

 「雪紀兄さん、ありがとうございます。」


 サクラは家に帰ってすぐにお風呂へと入りに行った。

 それを確かめるようにして眺めた後、雪紀は瑠菜に聞いた。


 「で?いくらだって?」

 「15万。給料から引いてもらったわよ。どうせもらえても使わなかったりするし。」

 「古い資料だったんだろう?しかも、掃除後のバケツにつまずいて転んだって。」

 「サクラならいつものことでしょう。」

 「怪我なさそうだったけど。」

 「幸運なことにね。私はもう部屋戻るから。」

 「はいはい。」


 瑠菜のいじめられていたころを覚えている雪紀からしたら違和感がある気もしたが、瑠菜自身が気にも留めていないようなので黙っておくことにした。

 サクラからも何か言われたわけでもないし、サクラの近くにいつもいる龍子やリナも何も言わない。

 雪紀はきっと気のせいだと信じた。


 「お風呂、入ってきました。」

 「あー、今日は休んでいいわ。最近サクラに任せすぎてたし。」

 「……ありがとうございます。」


 サクラは瑠菜の部屋の入り口でそう言って、ドアを閉めた。

 みなこがサクラのところにたどり着く2メートル手前くらいだった。

 相変わらず表情をあまり変えないが、みなこは少しだけ感情を前に出すようにはなっていた。


 「りゅ……にゃぁ。」

 「ん?あぁ、閉められちゃったね。おいで。」


 瑠菜はそう言いながらみなこを抱き上げてからまた仕事をやりだした。

 楓李とはあの日からずっと喧嘩中で、謝るきっかけもなくなってしまっていた。

 そのため、顔を合わせたくないのだろう。

 ここ最近はずっと自室にこもって仕事をすることが多くなった。
















 その日を境に、サクラは嫌がらせをされ続けた。

 会社だけではなく、家の中でもサクラが怒られるようなことが仕込んである。

 しかも、周りの子たちの数が多いためサクラ一人の意見よりもその子たちの意見が正しいとされ、サクラがいつも一人で怒られ、瑠菜が頭を下げる。

 雪紀やきぃちゃんなどの身内内ならまだしも、会社のこととなると瑠菜が謝らなければいけないからだ。

 しかし、最初は小さい子供がするような軽いいたずらだったがどんどんひどくなっていくのを見ていると、雪紀やきぃちゃんもサクラを強く叱るようになった。


 「ひぎゃー!ちょっ……何これ?」

 「うわっ、気持ち悪い。」

 「サクラちゃんね!」

 「ち、ちち違いますよ。」

 「嘘おっしゃい!あーもう、びっくりしたぁ。」


 カバンの中には少し昔の人形のようなものが入っていて、カタカタと歯を鳴らしている。


 「私……こんなことしていません。」

 「もうその嘘はいいわ。あー、心臓止まるかと思った。」


 きぃちゃんがここまで言うのには理由があった。

 いたずらをされた時、必ず近くに瑠菜かサクラのどちらかの物が落ちていたのだ。

 瑠菜の物はサクラしか触れないもの、サクラの物もサクラを含めた全員がサクラのものだとわかるようなものばかりだった。


 今回置いてあったのは瑠菜のネックレスで、前にサクラもつけていたくらいシンプルかつダイヤモンドの付いている高級品だった。

 ほかの人ならここに置かず、売りに出してしまうようなものだ。

 それくらい高級だとわかる。


 「あら、懐かしい。最近つけないのよね。これ。」

 「懐かしがってないでちゃんと叱ってちょうだい。」

 「仕込まれるきぃ姉が悪いでしょう。気を抜きすぎなのよ。」

 「はぁん、瑠菜ちゃんは師匠だからいたずらされないんでしょう。」

 「いや、されるわよ。この前なんて大人のおもちゃと蓋のあいたローションが……。」

 「もういい。わかった。」


 きぃちゃんは瑠菜のほうがされていることがひどいと思ったのか、すぐに瑠菜を黙らせた。


 そう。

 瑠菜へのいたずらは他の誰よりもひどいものばかりだった。

 いや、ひどくなっていってしまったのだ。

 瑠菜が普通のいたずらでは驚かないし怒らないから。

 前には小さな動物や虫の死骸が瑠菜の良く使う引き出しの中に入っていたりした。

 もちろん虫嫌いな瑠菜は小さく悲鳴をあげたまま固まっていた。

 それを見た楓李と雪紀が気付いて片づけをしてくれたからいいが、トラウマになってしまったらしくいまだに引き出しを開けるときは一瞬ためらってしまう。

 いたずらした側も死骸にはもう触りたくないと思ったのか、あれ以来死骸関係のいたずらはしてこなくなった。


 「瑠菜さ……その……。」

 「目上の人へのいたずらは笑い事じゃすまされない。手伝った人も処罰対象よ。」

 「へ……?いや、私は……。」

 「サクラのことは守れるけど、関係ない人たちは守らないから。私たちの地位と自分の地位を考えなさい。」


 瑠菜はにこにこしながら大きめの声で言った。

 それがどういう意味で言っているのかサクラにはわからなかったが、守ると言ってくれたのはうれしかった。


 その日から数週間、サクラの周りでいたずらが起こることはなくなった。

 しかし、一週間たったある日。


 「ひっ……。」


 ガタガタと物が崩れるような音に瑠菜と龍子はすぐに気づいて音がした部屋へと向かった。


 「……サクラ、どうした?」

 「え?あ……。何でもないです。こけただけで……。」

 「大丈夫?ケガとかしてない?」

 「こ、来ないでください!」


 サクラは部屋の中に入ってこようとする龍子と瑠菜を大声で止めた。

 本や物が床に散らばっていて、サクラはその真ん中に座り込んでいた。

 たしかに、中に入るのは危ないかもしれない。

 まぁ、心配している二人がそこまで頭が回るかと言ったら、回らないのだが。


 「サクラの部屋、掃除したほうがいいでしょう?棚の物も全部ひっくり返ってるし。」

 「一人でこの量を掃除するのは無理だろ。」

 「大丈夫です。一人でやるので。」


 サクラは下を向いたまま二人に訴えた。

 その必死さを見た二人はただ事じゃないと悟ったが、サクラが拒否する以上何もできることはないため顔を見合わせてため息をついた。


 「……わかったわ。片付け終わるまで休みにしてあげる。」

 「その間の仕事は僕にやらせてください。」

 「え?もともとそのつもりよ?」

 「マジですか?」

 「……瑠菜さ……龍子くん……、ありがとうございます。」


 二人が離れていくのを見てサクラは安心した。


(誰が……こんなの。)


 サクラが自分の手のひらを見ると、血なのか血糊なのかわからない真っ赤なものがべったりとついていた。

 油性ペンで「殺」の文字が大量に書かれたノートも横に落ちている。

 そんなのを作った覚えもないサクラは中を見てまた怖くなった。

 中に書いてあったのはサクラの悪口だった。

 サクラは見るのもつらくなり、それをゴミ箱へ投げ捨てた。


(ここにいたくない。)


 サクラはそう思って、少しだけ片づけた後に散歩へと出かけた。

 一方、龍子は瑠菜にからかわれながらも瑠菜にサクラのことをどう話すか迷っていた。

 何かおかしい。

 今までのいたずらも、さっきのサクラの反応も。

 すべてに違和感がついてくる。


 「瑠菜さん。サクラ……。」

 「仕事よろしく。今日は私会社呼ばれてるから、仕事ができないの。」

 「でも、サクラは……。」

 「大丈夫。あ、お兄。」

 「ん?どうした?」

 「花瓶の後ろの掃除よろしく。中までしっかりね。」


 龍子が何か言う前に瑠菜は雪紀に声をかけに行ってしまった。


 (……なんで急に掃除なんか……。早く仕事終わらせよう。)


 龍子は瑠菜にサクラは守れないと思った。

 忙しそうにしている姿を見たのも原因だが、あの状態のサクラを一人にさせるのはあり得ない。

 少なくとも、近くに瑠菜か龍子のどちらかはついとくべきだ。

 それくらい、サクラの様子はおかしかったのだが。

 










 「うわっ……きったな。」

 「あー、出来損ないの子ね。」

 「瑠菜さんもかわいそう。あんなのが弟子だなんて。」

 「私ならもっと役に立てるのに。」


 サクラはボロボロだった。

 何かにつまずいて転び、服が破けて擦り傷が大量にできた。

 そうかと思うと、後ろから急に押されて真っ茶色な湖に落ちてびしょぬれになってしまった。


 「きったない。あんたなんて、瑠菜さんには合わないのよ!」

 「いいすぎよ。かわいそうじゃない、本当のこと言っちゃ。」

 「そうだよ。」


(あー、また落とされそうですね。これは。)


 サクラは泥と水で重くなった服のままやっとのことで陸まで上がってがそう思った。

 目の前には数十人はくすくすと笑っている人もいれば、これにかかわりたくないのか真顔の人もいる。

 リーダーっぽいのとその取り巻きという感じだ。


 「何?生意気。」

 「……最近のいたずらはあなたたちですか?」

 「は?知らないわよ。」

 「知らないわ。」

 「押しつけ?」

 「ウザ。」

 「じゃあいいです。」


 サクラがそう言った瞬間、また湖の中にけり落された。

 蹴ったのはリーダーのような人ではなく、取り巻きのうちの一人らしい。


 「あははは、かわいそう。」

 「かわいそうだと思うならやめてください。」

 「はぁ?」


 リーダーの女がそう言って首を傾げた瞬間、サクラは上から水をかけられた。

 しかもきれいな水ではなく、この汚い湖の水だ。

 少しずつ泥が乾いていたから少し動きやすくなった点ではとてもよかった。


 「消えて、邪魔なのよ。」


 水をかけてきた女はバケツを持ったままサクラにそう言った。

 それを聞いたリーダーっぽい子とその取り巻きたちがくすくすとまた笑い始める。


 「……すみません。ありがとうございます。」


 サクラはこの女の子たちを相手にするつもりなどさらさらなかった。

 雪紀からそれなりの稽古はつけてもらっているため、何をされても大丈夫だと思っているからだ。

 服が重いことを除けば、彼女たちよりも素早く動けるし相手を気絶させる必要もなく逃げ切れる。


 「いっ……。」

 「あはっ、何してんの?」

 「まさか逃げる気?」


 サクラは派手にこけた。

 水をかけてきた女以外が楽しそうに笑いだす。

 サクラは逃げようとするが泥が固まって立ち上がれなくなった。

 熱い太陽が照り付けていることもあり泥の乾きが早い。

 夏の一歩手前だからだろう。


 「……っうあ。」


 バッシャンッとサクラはまた湖の水をかけられてバランスを崩した。

 先ほどバケツで湖の水をかけてきた女だ。

 それを見ていたほかの女子数名もバケツで湖の水をかけ始めた。

 次々とかかる水圧でサクラは息をすることすらもできなくなっていく。


 「おいっ!何してんだ?」


 女の子たちが逃げていき、サクラが目を開けると、最初水をかけてきた女はバケツを持っていなかった。

 












 「サクラ!」

 「瑠菜さ……。」

 「バカっ。いじめられてるならちゃんと言いなさい。」

 「……なんとなく気づいてはいたのですが……。」

 「何よりも先に対処してあげるのに。」


 サクラは瑠菜に抱き着かれてしどろもどろになりながら話した。


 「たく、よかったな。俺がいて。」

 「……。」


 瑠菜は久しぶりに楓李のことを見て少し逃げたくなった。

 喧嘩してからの数日間、本当に顔も見ていなかったのだ。

 いろいろな感情が頭の中に浮かんでは消えた。

 そして、瑠菜はすっとその場に正座をした。


 「ありがとう。サクラを、助けてくれて。」

 「……別に。」


 土下座をする瑠菜を驚いた目で見た後、楓李は顔をそらした。

 サクラはそれを黙ったまま見ていた。

 本当に楓李があの場所を通らなければ、サクラは何をされていたかわからない。

 泥と水で窒息していてもおかしくはない状態だったのだ。


 「誰がいじめてたの?」

 「この前うちに来た女の弟子だ。もともとサクラをやめさせたくて近づいたんだろうな。」

 「あの子は私よりもよっぽど階級が低いはずだけど。なんでこんなことを?」

 「あの女の弟子がやったんだ。お前はそんなんだから……。サクラが辞めれば自分たちが瑠菜の弟子につけると思ったんじゃね?師匠を裏切ってでも階級がある瑠菜のとこに来たかったんだろうな。」

 「ふーん。」


 瑠菜はそう言って資料を開いた。

 どんな奴がサクラをいじめていたのか気になったのと、楓李と久々に話をしていていたたまれなくなったのだ。


 「瑠菜さん、……あの子たちどうなるんですか?」

 「ん?さぁ、やめさせられるんじゃない?会社への貢献度にもよるけど。今のサクラが逆の立場なら百%クビね。」


 サクラは失敗の数々を思い出して申し訳なくなってしまった。

 すべて瑠菜が罰金を払って謝ってくれたのだ。


 「……一人、気になる子がいて……。」

 「ん?どの子?」


 瑠菜はサクラに持っていた資料を見せながら聞いた。

 資料には顔写真が貼ってあり、一人一人の名前と短い説明が書かれていた。

 しかもそれが何ページも続いている。


 「こ、この子です!」

 「あら、愛想のなさそうな子ね。この子がどうしたの?」

 「……なんか、無理やりやらされている気がして。」

 「ふーん。ちょっと待っててね。」


 瑠菜はそう言って資料を持ったままどこかへと行ってしまった。

 楓李はそれを見て大きめのため息をついた。

 楓李のほうも久しぶりすぎてどう接してよいのかわからないのだろう。


 「楓李兄さん。」

 「ん?」

 「助けて頂いてありがとうございました。」

 「当たり前だろ?」

 「でも、なんであの場所にいたんですか?」

 「……瑠菜と仲直りする方法を探してたっつったら?」

 「え?萌えます。」

 「なんでだよ。」


 サクラはそう言って笑ってしまった。

 助けた後、泥まみれのサクラを見てお風呂の準備やサクラの通った場所の片づけをしてくれたのは楓李だった。

 おかげでお風呂から出てきたサクラは何もする必要がなかった。

 本当に楓李には助けられたのだ。

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