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資本主義的ファンタ  作者: 通りすがりの初心者A
8/15

第一章第七話:妹

PV30'000、ユニーク3'500人、お気に入り登録者100人、感想5件、達成しました!

こんな未熟な小説にここまで付き合って頂き、本当にありがとうございます。正直、未だに信じられません。このサイトがバグってるのでは…と疑ってますw

また、感想もどんどん待ってます!批判でも当方非常に励みになります。感想には必ず返信しますので、一言でもいいので宜しくお願い致します。


第七話、始まります。


PS.3.16にこっそりと名前を変えました。気にしない気にしない♪

翌朝。


「おぎゃー!おぎゃー!」

「…んぅ?」

「Zzz…」


昨晩から部屋の中に残っていた少ししんみりとした雰囲気は、新しい赤ん坊――――昨日生まれたばかりの俺の可愛い可愛い妹で、もちろん言葉は話せない――――の泣き声によって一瞬で消し飛ばされた。


「…あああ!妹!」

「Zzz…」


泣き声の発生源に思い当たり、妹のいるベットに文字通り飛んでいく。


「おぎゃー!おぎゃー!」

「…えと、あと、えと…」


バスケットの中には、昨日も見た妹が。申し訳程度に付いている三角形の耳、本当に小さい手足はとても可愛らしくて、今のような泣き顔であればなおさら愛おしく…

ってそれどころじゃない!どうすればいいんだ!?ミルクか!?おしめか!?それともなんか他にあるのか!?

もう一度リーザのベットにトンボ返り。


「リーザ!リーザ起きて!妹が!」

「Zzz…ん~ぅ…あぅん…えへへ…」


…どんな夢を見ているのか非常に気になるところだが、今はそれどころではない。


「リーザ!もう起きてったら!」


ほっぺたをつねったり鼻をつまんだり耳を引っ張ったり胸の上で飛び跳ねたり。

…うんうん唸ってるが、一向に起きる気配がない。


「さっさと起きろー!」


――――――【電撃・弱】


「きゃん!………んー?…ああー、おはよーアスルー。」


弱めの電気を流したら可愛い鳴き声をあげて飛び起きた。…って、寝ぼけて俺を抱こうとしてる!?


「もうさっさと起きて!妹が泣いてるんだよ!」

「妹?………あ!あああ!」


流石にリーザも泣き声に気付いたのか俺を跳ね除けて妹に駆け寄る。危なっ!


「お腹がすいたのかな…それともおしめの交換かな?…ええと、おむつは大丈夫と。ってことは、母乳か。はいよちよち、いい子だからミルク飲もうねー。よっと。」


鮮やかな手つきで妹を抱っこし、あばばばばーとあやしながら飲ませようとする。…わんわん泣いていた妹が嘘のように泣きやみ、ゆっくりと吸い始めた。


「おおっ!流石っ!とても鮮やかなお手前で。」

「んー。一応ここに来る前に知識だけは詰め込んどいたし、アスルでたくさん練習もしたしね。…初めのほうは、必死に抵抗するアスルに飲ませるのだけでも相当な重労働だったんだから。」

「…あの時のことは思い出したくもありません。はい。」


会話が途切れて、妹が乳を飲む音だけが響く。

…ちょっと気まずい雰囲気。


「…昨日はごめんね。一気にいろいろ話しちゃって。途中から自暴自棄になってたような気もするし。」

「…それならこっちこそ。いくら灸をすえるためとはいっても、母さんに手を出すのはやっぱり最悪だ。」


昨日はリーザに抱かれたまま寝たせいでなかなか寝付けず、その時に魔力をぶつけたことを後悔していたのだ。あの時の俺は、ちょっと頭に血が上ってたかもしれない。


「いいのよ別に。あれは私も馬鹿だったから。…昨日のことはお互い様ってことで、水に流さない?今日から妹も加わった新しい生活になるしね。心機一転、今日からまた宜しくお願いしますって。」

「…それがいいや。そうしよう。」

「じゃぁ…今日からまた宜しくお願いします、アスル。」

「こちらこそ、今日からも宜しくお願いします。…母さん。」







「そうだ。私が名前を付けてあげる。…かわりにお母さんって呼んで欲しいな。」

「…っ!?」

「何がいいかなぁ。えーと、…あ。いいの見つけた。今日からあなたの名前は…アスル。シャルディー・リーザロッテ・アスル。どう?いい響きじゃない?」

「アスルか…とってもいいと思う。ありがとう、リーザ。」

「…お母さんって呼んでくれないの?」

「!…………お…かあ…さ……………母さん。」

「…『お』は?」

「いや、あの…正直、恥ずかしい。」

「…ぷっ!あはははは!いいよ、母さんでも!あははは!」

「―――――――【電気・微】」

「うひゃぃ!?」







乳を飲んだ妹はあっという間に寝てしまった。寝顔もやっぱり可愛い。


「本当はゼロ歳児ってこうあるべきものだと思うんだけどねぇ。」


リーザが妹の頬をつつきながらしみじみという。


うしっ!と掛け声を一つ。立ち上がってこちらに向き直る。


「さて、今からどうする?やっぱり魔法の練習かな?」

「ん~。族長にも勝てるようにならなきゃいけないし、何ににせよそれしかすることないでしょう。…前に教えてもらった魔法も結構あるけど、他にもあるよね?」

「もちろん、他にも沢山あるよ。でも私も軽くしか魔法を教わってないから、これ以上を教えるのはちょっと無理…確か、魔法関係の書籍がこの屋敷にあったはずだから、それで勉強すればいいと思う。文字も全部読めるんでしょ?」

「うん。ならそれで。」

「じゃ、ご飯食べた後で探してみるよ。…ちなみに、今日からアスルは離乳食です!」

「…マジで!?」







そして一ヶ月、二ヶ月、三ヶ月。


これまでの退屈だった日々とはうって変わって、妹の世話をしながらリーザと共に魔法を練習する忙しめの日々が続いていた。

リーザは妹の世話、特に夜泣きで体力的に辛いらしく、真昼間から妹を抱いて一緒に寝ていたりもした。…絵になるなぁ。


あと、名前。

「妹の名前も考えなきゃねぇ…なにかいい案ある?」

「んー、そんな急に言われてもな…」

「じゃぁさ、アスルと同じように一歳になったら名前をつけようか。それまでに一つは考えておいてね。あ、シャルディー・リーザロッテまではアスルと一緒で。」

「う~ん。悩む。」



四ヶ月、五ヶ月、六ヶ月。


俺の時はなんとも思わなかったが、この世界のエルフの赤ん坊は前世の赤ん坊よりも成長が早いのかもしれない。

まだ半年しか経っていないのに、妹がハイハイしはじめたのだ。初めてハイハイした時はリーザはちょっと涙目になりながら喜んでいた。大変だった分感動したらしい。


「ちみはハイハイする前に浮いて移動してたからね。感動もあったもんじゃないし。全然つまんなかったなー。」

「悪かったな!」


妹はすでに綺麗な白髪が生え初めており、瞳も澄んだ橙色である。

本当にリーザと瓜二つだ。妹に授乳している時など親子に見えるほどである。ここまで似ているのだから、妹も成長したらリーザと同じぐらい綺麗になるかもしれない。

かなり期待が膨らむ。


この頃には夜泣きも少しずつ減り、睡眠不足から解放されたリーザは一層魔法の習得に打ち込むようになった。

俺も結構やってはいるのだが、室内で使うと大変なことになる魔法、主に攻撃魔法の類だが、俺の場合は特に魔力が多く危ない為、それらを発動することが全くできない。

…なんとかして外で練習する必要があるかもしれない。




七ヶ月、八ヶ月、九ヶ月。


やっぱりだ。明らかに妹の成長が早い。ゆっくりとではあるものの、もう普通に二足歩行をしている。しかも「まんまー」とか「だっくん」、「ごはんー」など意味のある言葉もぽつぽつでてきた。

…そろそろ言葉を教え始め始めた方がいいかもしれない。とりあえずは、


「いい?『お兄ちゃん』って呼ぶんだよ?『お兄ちゃん』って。はい、おにーちゃん。」

「おにーたん?」

「そうそれ!もう一回、お兄ちゃんって!はい、おにーちゃん!」

「おにーたん!おにーたん!」

「っ…!なんて破壊力っ…!」

「おにぃ~ぃ~たん!」

「………ぐはぁっ!」


こ…これは強いぞ!妹には常駐型の魔法防壁がまるで紙のようだ!衛生兵!衛生兵はいないのか!?


「…なに悶えてんの?」


そしてリーザに不審な目で見られるのであった。




十ヶ月、十一ヶ月、そして…一年。「おめでとー!今日でアスルは二歳、妹君は一歳になりました!そして、今日、妹君には名前をつけたいと思います!」

「やったー!」

「………」


上からリーザ、妹、俺である。

ちなみに妹は、多少語彙に不足はあるものの日常の会話程度ならばすでにできるようになっている。それでも一歳児としては十二分だろう。リーザと俺が毎日毎日、一生懸命言葉を教えた成果はきちんと現れているようである。


…で、名前どーしよ。綺麗に忘れてたよ!


「さて、アスル君。さぁ、妹君の名前を発表しちゃって下さい!」

「はっぴょうしちゃってください!」

「………」

「………じー」「………わくわく」


すごい期待されてるんですけど!?妹の目なんかきらきらしてるよ!?

なんかいいのはないのか!?前世であったファンタジーっぽい名前とか…ええと、ええと…


「………ウィステアリア、なんかどう?シャルディー・リーザロッテ・ウィステアリア。」

「ウィステアリア、かぁ…。うん、いいんじゃない?なんか女の子っぽくて優しい響きだし。私はそれを推すよ。妹君は、ウィステアリアでいい?」

「うぃすてありあ…うん!とってもいいとおもうよ!あにぃ、ありがと!」

「どういたしまして。ちょっと自信はなかったんだけど、気に入ってもらえてよかったよ。」


まさかぱっとした思いつきで言った、なんて口が裂けても言えないです。はい。


「でも呼ぶにはちょっと長いかな…本名はウィステアリアだけど、愛称として呼ぶ時にはウィスティーとかいいんじゃない?」

「わぁ…!じゃあ、きょうからわたしはうぃすてぃーだね!」


名前をもらってはしゃぐ妹を、リーザと共に暖かい目で見つめる。


「ウィスティーもここまで成長すればもう大丈夫だね。今からは…」

「分かってる。もっと魔力を成長させて、族長を超えないとな。…あとウィスティーにも、もう魔法を教えはじめよう。最低でも、自分一人でも逃げきれるくらいにはなって欲しい。」

「…うん。これから、だよね。」


一部屋に軟禁はされていても、リーザとウィスティーと暮らす、楽しく、そして充実した日々。

でもそれも、長くてあと八年。

それ以上を求めるならば、族長を倒してこの世界に居場所を作らねばならない。


そうして、時は動き出す。

さて、そろそろ戦闘に近付いてきた感じになってまいりました。

…ただ、私自身がその系統の文書を書くのが非常に苦手ですので、更新に時間がかかるかもしれません。が、投稿は途中では止めませんので、生温かい目で見守って頂ければ幸いです。




ふきゅ!

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