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資本主義的ファンタ  作者: 通りすがりの初心者A
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第一章第一話:五つの特権

王道パターン入りまーす。



「大丈夫ですかー?起きれますかー?」


突然耳に響いた声にまどろみから引きずりあげられた。


「ん~………どうかしましたか?」

「色々と話すことがあるのですが、まずは起きていただけませんか?」

「んーと…はい。」


寝起き特有の、ボケた頭のスイッチを無理矢理入れる。

見慣れた病室、いつものように看護婦がお越しに来たにかと思いきや、そこにいたのはスーツ姿で中年っぽい人が。…サラリーマン?


「…えっと、あなたは誰ですか?」

「ああ、申し遅れました。私は特殊な転生を担当する臨時の者です。便宜上は天使と思ってもらって問題はありません。」


…その格好で天使と名乗るのは、少し無理があると思うのだが。


「………」

「説明しますので落ち着いてくださいね。まず、あなたは寝ている間に死にました。死因は末期がん。生きた時間は17年と226日、お若いですねー。」

「………」

「えーとですね、要するにあなたは死んで天に召されたわけです。そして、私があなたを担当させて頂く天使です。神という概念はご存じですよね?」

「………」




                ◆




「俺は死んだのか。」

「…案外とあっさりと納得しましたね。こちらとしては早くて助かりますが。」

「まぁ、ホスピスに入った地点で死ぬ覚悟はとうにしていたしな。」


そうじゃなきゃ誰もホスピスなど入らない。


「では死後の事務処理をしたいのですが、よろしいですか?」


うなずく。

にしてもスーツで正装した自称天使は、なんというかシュールだ。

こう、白いロープを着ているとか、人外的に美しい女性とか、背中に翼があるとか、そういうものを想像していたのだが。


「まずあなたは後天性の治療不能な癌で成人する前に死にました。これは非常に不幸ですね。普通なら次に生まれる環境や才能を平均以上にすることで釣り合いをとります。ですが、あなたは生前、どの世界、時代でも成人するまで生きてないんですよ。しかも本人の過失以外の原因、つまり理不尽な死によって。」

「…えー」


…これが前世からの因縁ってやつなのだろうか?にしても、俺、不幸すぎるぞ。


「これは完全に転生を管理する神の過失ですね。本当ならもっと早期に発見すべきでした。言い訳をさせてもらうと、ここ1000年で色々な人間の転生が急増、業務が追いつかない状態でして…。この場で謝罪させて頂きたく思います。」


そういって自称神はペコリと頭を下げた。

…うん。1000年とか、流石に神はスケールでかいね。


「つきましては、今回の転生では大幅なイロを付けさせて頂きたいのです。そうですね、五つの願い事までなら便宜を図れると思います。」

「五つも!?」


願い事って普通ひとつが相場なのに!


「はい。無茶苦茶なことでも大体できますのでなんなりと。できれば、今決めて頂けませんか?」

「今!?そんな急に言われても…えぇと…」


ぱっと思いつく項目をあげてみる。そうだな…

一つ、現在持っている記憶の継承。

一つ、寿命の保証。

…三つも余った。なんという謙虚な俺!

えーと、あと、他には…何かあるか?


「…お悩みのようですね。こちらからの提案になりますが、ファンタジーな世界で最強設定というのはどうでしょう。これで二つになりますが。」

「…ええっ!?そんなのいいんですか!?」

「はい。今回の失態は本当に異例だったので、神の権力を奮発して良いことになっています。最強設定は、おそらく世界最強の生物になれますね。」

「それなんてチート…じゃぁ、それで。」

「はい。それでは『記憶の継承』『寿命の保証』『最強設定』『転生先の指定権』は確定ですね。すごいですよ。こんなに権利を与えられた生物はあなたがはじめてです。転生先はどこがいいでしょうか…」


神が考え始めた。

…いやー、それにしてもタナボタタナボタ。なんか面白くなってきた気がするよ?


「ああ、見つかりました。異世界『ミュルファ』はどうでしょうか。普通の人間の他にも獣人やエルフや天族、それに竜なんかもいますね。技術もそんなに発達してないです。おそらく、ファンタジーなイメージ通りの世界だと思われます。」

「…!?イメージ通りなファンタジーな世界なんてあるんですか!?」

「はい。たくさん存在しますね。というより、地球にあるファンタジーという概念は、記憶の継承を許された一般人が持ち込んだものだったはずです。」


驚愕の事実が発覚。

だがそれより、中二病経験者なら誰でも憧れるファンタジックな世界の存在っ…!


「そのファンタジーな世界を希望します!是非そこがいいです!」

「承りました。あと一つ枠が残っていますが、他になにかご希望は御座いますか?」

「うーん、特には…あ、もしよければそのミュルファという世界の言語を生まれた時から取得できますか?」


もう一回言葉を覚えなおすなんてだるくてやってられないしね。言葉を覚えなくていいって楽チンだと思うんだ。


「はい。そのくらいなら全く問題ありません。というか逆に簡単すぎるくらいですね。…ちょっと格上げしますね。五つ目の希望は『ミュルファの言語全ての習得』としておきます。生まれた時から有効となるはずです。」

「あ、どうも。」


なんかとんでもない条件になっている気がする。

…案外言語っていうのはいい選択だったかもしれない。


「では私はこれで失礼します。1分後に転生が開始されますので、新たな異世界ライフをお楽しみ下さい。」

「は、はい!ありがとうございます!」


そうして、俺の新しい人生が始まった。






自分で書いた文章を読みなおすのはある種の拷問だと思います!

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