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資本主義的ファンタ  作者: 通りすがりの初心者A
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プロローグ

あらすじにも書いてありますが、題名の通りに進むのは第二章からの予定です。

第一章は奴隷のどの字もでてきません。ご了承ください。

プロローグ


朝、起きるときの感覚とはなんと形容しがたいものか。特に熟睡したあとのが。

もうかれこれ17年、毎日欠かさず経験しているはずなのに未だにそれを表現することはできない。

それでも、確信を持って言えることが一つ。


…起きるのだりぃ


部屋の眩しさに目を細め、体を貫く痛みに耐えながら上体を起こす。

次第に明るさになれ、慣れ親しんだ部屋の様子がわかってくる。白を基調とした壁紙とカーテン。壁に掛かっている薄型テレビ、小さな冷蔵と小さな棚。そして今寝ていた、家庭ではありえない大きなベット。――――――いつもと変わらない、病室3206号室だ。


「ふわぁ~」


と痛みを無視して大きくあくびを一つ。今日もつつがなく一日が始まった。


俺が入院しているこの病院は、がん治療の技術が非常に高くそこそこ有名である。

とくに、病室ナンバー3001番から始まるホスピス棟は非常にサービスが充実し、多くの患者の人気を博しているため入院の順番待ちまである始末である。自分もよくこんなところに入れたと思う。

ただ、入院するというのは本当に暇である。

基本一日中ベッドの上に居なければならないのだから、できることは数少ない。精々勉強や読書など。数学や化学の参考書が漫画のように面白く思えるくらいに、退屈だ。これは長期間入院したものにしか分かるまい。

8年間の大半を病室で過ごさなければならなかった俺にとって、悲しいことに勉強ほど暇潰しになることは他になく、結果高校までの主要教科の履修範囲はほぼ終わってしまったのだ。

薄幸のがり勉のがり野郎なんて絵にならなさすぎる。アイスのがりがり君は結構好きだが。


こんな学校にもほとんど行けないがりがり君でも気にかけてくれる物好きな奴も何人かいて、そいつらはよくこの病室に遊びに来る。もちろんそれはとても嬉しいことで、幸せなことで。そのはずのだが………


「おぉーす、元気してるか?」

「…お前を見たら気分が悪くなりそうだ」

「おっし、大丈夫だな」


俺の暴言を綺麗に無視して入ってきたのは腐れ縁のあるクラスメイトだ。ちょっとがたいがいい(太っているという意味ではなく)普通の学生だ。


「で、今日のその膨れた鞄の中は何なんだ?」

「ちっ。気づきやがったか。」

「お前隠す気ないだろーが…はぁ。で、中身は?」

「よくぞ聞いてくれた!これは俺が先輩から譲ってもらったエロ雑誌の数々だ!」

「…お前一回死んでこいっ!」

「まぁまぁそう堅いこと言わない。下に入れさせてもらうぞ。」


そう。こいつは自分の家に置いといたらやばいものをなんと俺の病室に、正確にはベッドの下の段ボールの中に保管しているのだ。はじめは中学や塾のテスト等、なんというか微笑ましかったのだが、次第にエスカレートし、今ではこんなやりとりとするところまで来ている。

うん。こいつは色々な意味でクズだ。


「今日という今日はダメだ!ここはロッカールームじゃねぇんだ!」

「えー。減るもんじゃないしいいじゃん♪というか増やしてるし。うわ、俺っていいやつ!」

「よかねぇー!」

「まぁまぁ。今日はお前にプレゼントを持って来たからそれで見逃してくれや~」

「そんなもので誰が釣られ「ほれ」


目の前に差し出されたのは…妹系同人誌だと!?…なぜこいつは俺のストライクゾーンを知っているんだ!?ぐっ、そんなもので俺は釣られないぞ!


「………」

「………」

「…そうだな、別に損してる訳じゃないしいいよな。うん。明日からもどんどん持ってきていいぜ!いえ、是非お願いします!」

「さっすが相棒!わかってるじゃねえか!」

「ハッハッハッハ!」


俺もクズだった。










うわぁ…自分で書くと難しさを実感しますね…


補足:

ホスピスとは、病気の根本的治療を諦めて余命を楽しむことを選んだ人々が入る臨終施設のことです。主に末期がん患者などが入院します。

一応書いておきますね。

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