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第9話 他の国へ旅行に行ってみた - 前編

「そういえば、25億Gってやばくね?」


 いきなりすごい大金があっさり入ってきたことに朝起きて初めて気がついた。30億Gで3つの国を運営できるほどだと言うことを思い出したからだ。でも「そのへんの国」って言ってたから海の向こうは事情が違うのだろうか...?それにしても本当に何だったんだろう...数日で取引が終わって、いきなり馬車が何台も来て全部お金とか。借金返済に当てる前に数えれば良かったな。


 そんなことより、今日は重要なイベントがあるのだ。そう、他の国へ「旅行として」行くということだ。ということで昨日ワズに相談してみたのだ。


「今度休みを使ってどこか行こうと思うんだが、どこが良いかな?できればゆっくり海でも見ながら楽しみたいんだ。」


「それなら、『アルビーグ王国』とかどうだ?あそこなら海も観光地もたくさんある。」


「ありがとう!そこに行ってみるよ。」


「あともしそこに行くならまずわしの国に寄ってってくれ。隣のヴァルファン王国に手紙を渡す用があるんだ。丁度いいタイミングだから渡してくれない?あまり重要なことではないから気楽に運んでくれ。」


「は...はあ...」



 ...と、結局仕事が増えてしまった。まあ手紙を渡すくらいだから良いか。どうせ重要なことじゃ無いんだからな。


「ヒカル!準備は出来ているか?」


「はい!楽しめという命令ですので、それに似合った準備は完了しています!」


 アロハシャツとか浮輪とか、うん。すごく楽しそうな感じ。僕らはまずオルネジア王国へ行った。例の手紙を受け取るためだ。


「直行で旅行には行かないから、まずは正装に着替えようか...」



「ワズさん!来たよー!」


「おお、よく来てくれたな。あとヒカルも来てくれたのか...じゃあ早速だけど、はい。これ渡しておいてね」


「はい!」


 手紙の大きさはいわゆるハガキサイズではなく、レターパックより1回り小さいくらいの封筒に入っている。なにかたくさん伝えるような感じだから、ちゃんと渡さないとな。



 3、4時間たった。ようやく海が見えた。意外と僕自身これが異世界初めての海だ。地球と大差ない感じだ。ちゃんと水平線も見えるし、船の影もある。いい感じのカットだ。葉書にこの風景を写したら売れそうだな。


「...ヒカルは、海に行ったことはあるのか?」


「ええ、ワズ様の使いとして前1回だけ。その時はほぼ護衛として行ったので、楽しむ余裕はなかったですけどね...」


「そうか、じゃあ今日は楽しむことを目的にしよう!でも最初は手紙を渡す仕事からだけどな。」


「はい!」


 僕はヴァルファン王国に行った。あの王がいざという時のために僕の通行許可証を作ってくれたのだ。しかも特別仕様で。「シュウヤとその連れの者」として通してくれた。


「この許可証は連れの者としてなら何人でも入れるんだ...意外と使えるな。そして仕組みが良く考えられている...」


 色々考えているうちに王都に着いた。早速門番の人に手紙を渡した。


「オルネジア王国の国王からの手紙です。私はこの近くの国に用があるので、ついでに渡しに来ました。」


「これはこれはシュウヤ様。しっかり預からせていただきます。あと前のあなたの知識提供のおかげで、国民の王に対する支持率がさらに上がりましたよ。国民に代わって感謝いたします。」


「いえいえ。また何かあれば言ってくださいね。」


 やっと仕事が終わった。そして僕らはアルビーグ王国に行った。やっと楽しい時間がやってくると思うとすごくワクワクする。


「サンジーフ王国の国王のシュウヤです。そして彼は部下のヒカルと言います。今日は観光目的でこの国に来ました。1週間ほど滞在許可をいただきたいのですが。」


「...わかりました!許可しましょう。では楽しい観光を。」


「ありがとうございます。」


 無事に1週間の滞在許可が出た。でも「国王」って言うのはいらなかったかも。僕らは早速ビーチに向かう。とてもきれいで透き通ってる海だ。思いっきり楽しめそうだ。ワズも意外といいセンスしてるな。


「すごいきれいだなぁ!」


「そうですね、私もこんなまじまじと海を見たことはありませんよ!」


 僕は海の家で「甘い削り氷」を頼んだ。まあほとんどかき氷だけど。海を見ながら食べるのもまた格別だよな。


「シュウヤ様...頭が痛いです...」


「ハハ...」



 僕らはこの国の食が気になって1軒のレストランに入った。この辺の住民に聞いて一番おすすめと言われる店だ。


「じゃあ...海鮮パスタをください!」


「僕はシュウヤ様を見習い、海鮮ピザをください!」


 「見習って」という言葉が少し謎だが、どちらも小麦と海鮮を使っているので良いとしよう。


 ...出された料理はどれも美味しかった。日本とは味の感覚が少し違うらしいが、僕はそれに慣れているので普通に美味しく食べれた。ヒカルは海鮮をこんなに食べるのは初めてだと言ってあっという間に食べ尽くした。


「...もう1個好きなの食べていいよ...」



 浜辺のベンチで二人。サイダー的な飲み物を飲みながら話していた。


「結構1日が充実してたね。残り6日間どうしようか?」


「そうですね...そういえば、この国も食にやや力を入れているみたいなんです。だから飲食店の出店が誰でも手軽に自由に出来るみたいなんですよ。だから国の宣伝も含めてサンジーフ王国の食を紹介するのはいかがでしょう?」


「なんか仕事みたいになってしまうなぁ。まあなんか楽しそうだし、やってみるか!少しばかり準備が必要だから手伝ってくれるか?」


「もちろんです!」


「でも今日はもう遅いから準備は明日からにしよう。ちょっと眠いから今日は早めに寝よう...」


 僕はこの世界に色々な料理を伝えてきた。中でも海鮮系は僕の十八番だ。寿司、海鮮のフライ・天ぷら、アクアパッツァ...でもこの国に生魚を食べる文化はあるんだろうか...いずれにしろ国の事を知ってもらえるいいチャンスだ。頑張らなきゃな。


 結局仕事のようなものになってしまうが、まあそれも良い。明日から少しばかり忙しくなりそうだ。楽しい忙しさとなることを祈ろう。

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