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綺麗な寝顔だ。
腕の中でスースーと眠っている。
しばらくすると青い光に包まれた。
その光は俺が持っている本に吸い込まれていった。するとアリスと呼ばれていた少女の見た目に変化が起きる。
青みがかった髪色も、青を基調としたドレスもまるで幻だった様に、ごく普通の黒のワンピースへ変わった。
ボブ位の髪は、どういう原理か元の肩の位置まで戻っている。
「い、一体どうなってんだ。有栖、おい、有栖!」
揺さぶっても有栖は目覚めない。
ここはかつて市街地だった場所。
異形、酷咳と呼ばれる化け物に壊された街。かつての賑わいは無く、また、かつての賑わいを知るものも既に存在はしていない。
そんな中で酷咳が現れ、妹の有栖は変化した。
意味がわからない。
「有栖ちゃんはようやく目覚めたのね」
「シャーロットなのか?」