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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。

緑の野菜ではなく黒いブルマを買うしかなかった

作者: 栗野庫舞
掲載日:2022/02/07

地味な作品を目指しました。

 静かな住宅街は、まるで迷路のようだった。


 路上には他に誰もいない。私服姿の女子高生のあなた(ひと)りだ。


 時刻は午後三時頃。


 あなたはずっと、住宅街の中を歩いていた。


 道に迷ってしまい、立ち止まって地図を見る。


 そんな時のこと。


 向こう側の曲がり角から、ベージュ色の三輪車に乗っている女の子が現れた。


 ゆっくりと三輪車を走らせる、黒いロングヘアの女の子。ピンク色のワンピースを着ている。


 あなたに近づいて来たところで、女の子はペダルを()ぐのをやめた。


 あなたが女の子を見下ろしていたら、女の子はワンピースのスカート部分をいじくり始めた。


 めくり上げた際に見えた、女の子のお尻周りを覆う黒いブルマと、健康的な白い太もも。その対比があまりにも美しかった。

 美少女の太ももとは、このようなものを言うのだと断言出来そうな輝きがあった。あなたは、つい、黒ブルマと太ももに意識を集中してしまう。


 不意に女の子が、顔を上げた。


 あなたは目が合った。気まずくなる。


「ブルマが好きなの?」


 黒髪の女の子にかわいい疑問形で聞かれて、あなたはより困った。答えられなかった。


「ついてきてね」


 女の子はあなたに言うと、ペダルを()いで引き返す。


 あなたはしかたなく、ついて行った。


 道の角を曲がった先に、一軒家三つ分ぐらいの面積の小さな畑がある。

 道路沿いには、やはり小さいものの、頑丈そうな造りの無人野菜販売所があった。棚は二段で、屋根がついている。


 野菜……は、何種類か置かれてはいるのだが、下の棚の右端に、あなたは注目した。

 黒いブルマが三つほど積んであるのが不自然で、かなり目立っていた。一枚二千円と書かれている。高い。


「ブルマを買ってくれたら、半分が私のおこづかいになるの。買ってくれるよね?」


 無邪気な顔を向けられるのが、とても(つら)かった。


 これは()らないからとあなたは断って、女の子に千円札を渡そうとしたら、


「知らない人からお金をもらっちゃいけないの」

 すぐに拒否された。


 あなたは女の子を無視して、この場を去ることも出来た。


 けれども、女の子を悲しませたくもなかった。


 人目がないことを確認して、お金を入れる小箱に二千円を投入し、あなたは黒いブルマを手に入れた。

 このブルマは子供用だ。あなたにはサイズが合わず、女の子の穿()いていたものと恐らく同一だろうか。


「お買い上げ、ありがとうございました」


 笑顔で言ってくれた女の子の姿が、記憶に刻み込まれる。


 あなたは女の子の笑顔を守ることが出来たのだと思うと、大変誇らしかった。


 しかし、時間が経過してから冷静に振り返ってみると、後悔の念に苦しめられる。


 この買ってしまったブルマをどうしようかと、帰宅後のあなたは悩むのであった。


                    (終わり)

不用品を買ってしまったお話でした。


最後まで読んで下さり、ありがとうございます。もし良ければ、サキュリバーズなど、作者の他の作品も読んで頂けると嬉しいです。


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