緑の野菜ではなく黒いブルマを買うしかなかった
地味な作品を目指しました。
静かな住宅街は、まるで迷路のようだった。
路上には他に誰もいない。私服姿の女子高生のあなた独りだ。
時刻は午後三時頃。
あなたはずっと、住宅街の中を歩いていた。
道に迷ってしまい、立ち止まって地図を見る。
そんな時のこと。
向こう側の曲がり角から、ベージュ色の三輪車に乗っている女の子が現れた。
ゆっくりと三輪車を走らせる、黒いロングヘアの女の子。ピンク色のワンピースを着ている。
あなたに近づいて来たところで、女の子はペダルを漕ぐのをやめた。
あなたが女の子を見下ろしていたら、女の子はワンピースのスカート部分をいじくり始めた。
めくり上げた際に見えた、女の子のお尻周りを覆う黒いブルマと、健康的な白い太もも。その対比があまりにも美しかった。
美少女の太ももとは、このようなものを言うのだと断言出来そうな輝きがあった。あなたは、つい、黒ブルマと太ももに意識を集中してしまう。
不意に女の子が、顔を上げた。
あなたは目が合った。気まずくなる。
「ブルマが好きなの?」
黒髪の女の子にかわいい疑問形で聞かれて、あなたはより困った。答えられなかった。
「ついてきてね」
女の子はあなたに言うと、ペダルを漕いで引き返す。
あなたはしかたなく、ついて行った。
道の角を曲がった先に、一軒家三つ分ぐらいの面積の小さな畑がある。
道路沿いには、やはり小さいものの、頑丈そうな造りの無人野菜販売所があった。棚は二段で、屋根がついている。
野菜……は、何種類か置かれてはいるのだが、下の棚の右端に、あなたは注目した。
黒いブルマが三つほど積んであるのが不自然で、かなり目立っていた。一枚二千円と書かれている。高い。
「ブルマを買ってくれたら、半分が私のおこづかいになるの。買ってくれるよね?」
無邪気な顔を向けられるのが、とても辛かった。
これは要らないからとあなたは断って、女の子に千円札を渡そうとしたら、
「知らない人からお金をもらっちゃいけないの」
すぐに拒否された。
あなたは女の子を無視して、この場を去ることも出来た。
けれども、女の子を悲しませたくもなかった。
人目がないことを確認して、お金を入れる小箱に二千円を投入し、あなたは黒いブルマを手に入れた。
このブルマは子供用だ。あなたにはサイズが合わず、女の子の穿いていたものと恐らく同一だろうか。
「お買い上げ、ありがとうございました」
笑顔で言ってくれた女の子の姿が、記憶に刻み込まれる。
あなたは女の子の笑顔を守ることが出来たのだと思うと、大変誇らしかった。
しかし、時間が経過してから冷静に振り返ってみると、後悔の念に苦しめられる。
この買ってしまったブルマをどうしようかと、帰宅後のあなたは悩むのであった。
(終わり)
不用品を買ってしまったお話でした。
最後まで読んで下さり、ありがとうございます。もし良ければ、サキュリバーズなど、作者の他の作品も読んで頂けると嬉しいです。




