ACT7サイドストーリー 聞き耳で聞くもの
第68話より。
避難してきた民家の中にて……
シープルさんを待っている間、ワタシは部屋の出口の扉に耳を当ててみた。
「イザホさん……なにをしているのですか?」
ホウリさんは、ワタシの行動に首をかしげている。
「ホウリさん、イザホは気になることがあるとじっとしていられないんだ」
マウはそう説明してくれると、ベッドから飛び降りてこちらに近づいてきた。
「どーせなら、ボクも聞き耳立てちゃおーっと」
ワタシの横でマウは、長い耳を壁につけた。
ドン
なにかを打ち付けているような音が、聞こえてくる。
ドン ドン
その音はリズムよく、繰り返している。
まるで、なにかをたたきつけているかのように。
金物で、骨のように固いなにかを、たたいているかのように。
「ああ……イザホを狙撃したやつは……」
ドン ドン ドン
シープルさんの声とともに、そのリズムは速くなる。
「もう……心配することはないだろう……」
ドン ドン ドン
「今、なにをしているのか……簡単だ……さっき言っていた……」
ドン ドン――
――ぶしゃあ……
「ちっ、しくじった!」
……なにかが、つぶれたような音がしたような気がする。
「ああ、シープルさん! だいじょうぶです! 私がやりますって!」
シープルさんとは別の、男性の声が聞こえてきた。
「めんどくせえなあ……このままでいい。この位置から変わるのがめんどくさい」
「すみません、シープルさん。いつもお世話になっているのに、油絵の道具を入れる棚の修理を任せてしまって……」
「どうせ今断っても、あとで頼んでくるだろうからな。電話を行いながらなら無駄にはならない」
やがて、カチャカチャと道具を片付けるような音が聞こえてきた。
「それにしても……まだ使ってないのか? 赤色の絵の具。しくじって金槌でチューブをぶつけてしまったが、ここまで飛び散ってしまうんだからな」
「私の作品、冷たい色をよく使うので……」
シープルさんのため息をつく声が、聞こえてきた。
「……ん? いや、こっちの話だ。カタギのじいさんが危なっかしい手つきで棚の修理をしていたから、変わりにやっていただけだ……で、あのチラシの顔は――」
ふと横を見ると、マウに続いてホウリさんまでが聞き耳を立てていた。
「……くすっ」
「わあ、いつの間に」
マウが壁から耳を離して、小さく笑っているホウリさんを見る。
「シープルさんって、よくわかりませんよね。鳥羽差市では怠け者のように振る舞って、サバトではまるで人を殺してそうな言葉使いで……だけど、めんどくさいと言いながらやさしいところもあるんですから」
「鳥羽差市では臆病な上に勘違いからすぐ叫び出すのに、サバトでは落ち着いているホウリさんには言われたくないと思うよ」
いかがでしたか? オロボ46です。
今回は、裏側の世界の元となった場所「サバト」の存在、現代の事件の裏で動いていた組織が明らかになりました。そして、姿を消していたフジマル、リズの身の安全、そして、バフォメットの謎も、一部が明らかになりつつも新たな謎が生まれましたね。
本来は、さらに物語の核心へと迫っていきますが……ちょっとここで一区切り。一度物語を整理してから、バフォメットの都市伝説の真相へと向かいましょう。
ここでおわびをさせていただきます。
本来、ACT7は76話以降も含まれる予定でしたが、このACT7が長期戦になったことに加え、説明が続くことにより状況が飲み込みにくいかもしれない恐れがあると考え、急遽ここで切ることにしました。
それを決定するまで、75話のラストではいつも通り【次回 第76話】となっていたところを【ACT7 END】と変えてしまったため、混乱する読者もいるかもしれませんが、ご了承ください。
また、次話の公開予定日が【5月8日】となっていましたが、この都合上と、一度今までのサイドストーリーの見直しや追加を行いたいと思い、【5月11日(水)】に延長させていただきます。
前回から日が空いているので、読者に長く待たしてしまって申し訳ありません。
さて、次回ですが……
サバトの元締めであることを明かしたリズ。
彼女の口から明かされるサバトの情報、そしてバフォメットの行動理由が語られます。
少しずつ、事件の真相に足を進めるイザホとマウ。それはまるで、闇の代償である光が顔を出したように……しかし、新たな影を生み出すように――
上記の通り、5月11日(月)公開予定です!
なお、次ACTにおけるイザホが見る夢は、展開の都合上最初ではなく後になります。
ACT7を、最後まで見てくださりありがとうございました!
・サバトのシープルさんとホウリさん……本当にご本人?
・フジマルの過去が感じられてきた
・バフォメット、以外とカワイイ
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この物語が、誰かの紋章となりますように。
それでは、次回もお楽しみに!!





