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14-8, 情けなさと恋心

目が覚めた。

白い天井、シンプルなまどり。

ここは… 病院?

私は窓際で、隣のベッドでは雨宮先輩が眠っていて…


そうだ、私、あのとき三階の窓から…


…あれ?

隣に…

…先輩?


…生きてる?!


あわてて起き上がる。

全身に痛みが走る。


「まだ起き上がらないほうがいいよ?」

男の子の声がした。

聞き覚えのある声… 幼いころからきいていた…大好きな声…

振り向くと、彼は窓の外をながめていた。


「青葉くん…」

彼は、彩葉ちゃんのお兄さんで…

前々から姉弟で似てないとは思ってたけど、うららんと渉くんを見ちゃったら、余計だなぁ…

…でもどうして来てくれたんだろう…


「随分とあってなかったよね」

「うん…」

あって話したのは二年ぶりくらいか。


小学校は一緒だったけれど、青葉くんは二年はやく中学生になってしまったから…

でも、この間空桜ちゃんと買い物いったときに見かけたから、元気でやってるってことはしってた。


歌波は再会を喜び青葉に笑顔をむけたが、対する彼の横顔は、深刻な表情。



「何があったんだよ」


──情けない。

何もいえない。


「おまえ、あんま自分のことせめんなよな?」

「…わかるの?」


「昔から知ってるからな」

「やさしいね」


──そんなことしかいえないのかな。

ああ、そうだ私、混乱してるんだ…


目をあわせてくれない青葉。


「あ、ねえ… 救急車って…」

「ああ。俺じゃなくて、彩葉だよ。歌波んち行ったら二人がマンションの前で倒れてたって」

「それで病院に・・・」


病院にいることを思い出すと、痛みが戻ってきた。

──不思議だな。昨日、あの瞬間、何も感じなかったのに。

先輩のことばかりを考えていたから?

それとも、本当にわたし、ぼーっとしてて・・・?


──でも

隣のベッドを見る。

──私の痛みなんて、うららんに比べたらずっと…

…ごめんなさい

やっぱり私は・・・ そういう人なのかもしれない。


「な、歌波…」

青葉に話しかけられた、と思った、 そのとき

扉がひらいた。

「お、帰ってきた。」

青葉の言葉にのせられてそちらをむくと、いつもの面子が嬉しそうにしていた。


「かーなみーっ!意識が戻ったんだねぇ!!」

「なんかそれ、何か月間も眠ってたみたい」

「ナイスタイミングで戻ってきたみたいな?」

「でも、男女二人で良い感じだったの邪魔しちゃったんじゃない?!」

「あー!そういえば青葉くんって見たことあると思ったら!歌波の!」

「ん、歌波の?」


──いつもの調子だ。

なんでこんなことになったのか、とかきくこともなく…

私がどんな気持ちで彼女らと仲良くしていたかなんて ずっと気にすることもなく…

でも、今、この瞬間が一番楽しい気がするな…

…ありがとう


でも、でもね・・・


わからないよ

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