14-2, 一月一日 二
空桜たちが、麗を待ち続けているころ。
境内では、例のカップル、立雲と八代がお賽銭をしていた。
「何お願いした?」
「あててみ」
「えー?じゃあ、ずーっと私と一緒にいたい!とか?」
冗談まじりに言う立雲に、思わずふきだしてしまう八代。
「おおかた外れてはないけど…普通、今の時期って合格祈願しねーか?」
「あーなるほどね… って、おおかた外れてはない…?!つまり八代だって合格祈願じゃないじゃん!」
「八代だって?ってことは、立はやっぱあれか、ずーっと一緒にって」
「っもう!」
くすくすと笑う立雲。
最近、性格やわらいできたなーと感じる八代。
雨宮たちと仲良くなってから人間らしくなってきたんだよな、立。
人間らしく、って表現もおかしいけどさ。前までもっと機械的だったからな…。
微笑を浮かべる八代をのぞきこみ、にやける立雲。
「なーにやらしいこと考えてんのよ!っねえ、おみくじひこ!」
そういって、財布から百円玉をとりだす立雲。
二人がそんなことをしているとき、遠くに知り合いの姿が見えた。
手をふりながらこちらへ駆けてくる。
「あけおめー!八代!なんだ、新年早々デートかー?きみさ、たしか刃流生だったよね?」
「…あ、初めまして?鳩羽立雲です …刃流生ですけど」
どうやら八代の学校の友達のようで、立雲のことも話にきいているようだ。
「おー、話はきいてるよー。僕は初浦青葉っていうんだけどー」
「…初浦?」
「うちの学校の理事長の息子だよ、青葉」
「あっ言うなよ八代!」
理事長令息…!
開いた口がふさがらないとはこういうことか。
なにより八代の友達であることが驚きだ。
なんで今まで言わなかったの?
「いや、いってもって感じじゃね?」
まあ、そうだけど…
「ま、仲良くしてよ。だーいじょうぶだって、人の女に手出すようなことはしないからさ、そんな険しい顔すんなよ、な?八代。」
「つくづくうざいなお前」
「えー、何?うざかったー?ごめんね~」
楽しそう。
凄いな…
理事長なんて、うちの学校の方すらあったことがないけど、今こうして目の前に初浦の息子がいるんだもんなぁ。
新年早々運がいいんじゃない?
「てか青葉お前、一人か?」
「いや、クラスの連中ときたんだけど。はぐれちまった」
はぐれたって…えっ、可愛い。
「だから八代みつけて、これはっって思ったけど、彼女連れじゃだめだな」
「っはー。お前の方向音痴さには正直呆れるわ」
「あ、私は別に構わないよ?」
理事長令息さんと仲良くなるチャンスじゃない!のがすわけにはっ!
「お兄ちゃん!」
お兄ちゃん?!
突然少女の声がした。
ふりかえると、小学生くらいの女の子。
おっ、お兄ちゃんって、え?!八代あんた一人っ子だって…?!
「彩葉?」
反応したのは青葉のほうだった。
な、なんだ青葉くんの妹か… って可愛い。
「お兄ちゃんもしかしてまた迷子なの?」
呆れた視線を兄へと向ける妹。
また、という言葉に笑いをこらえる八代。
方向音痴だって、ついさっきいってたものね…
「そ、そういうお前は?なんで一人なの?」
「一人じゃないよ?ほら、向こうに友達いるでしょ?お兄ちゃん見つけたから、ちょっと待っててもらって」
「ああ、そう」
苦笑いを浮かべる青葉。
微笑ましい光景に、立雲と八代は顔をみあわせる。お互い楽しそうに笑っている。
「じゃあ、行くね」
彩葉は三人に手を振ると、走り去っていった。
それと入れ違いで、見覚えのある人物がこちらに向かってくる。
「雨宮さんじゃん~」
立雲が手を振る。
こちらに気づいた様子で、麗も手を振りかえした。
その様子をみて、八代は鳥居のほうを見る。
未だにそこに空桜たちがたまっているのをみると、麗がきていることに気がついていないようだ。
「あいつら、よんでくる?」
「そうだね、私いくよー」
立雲は鳥居のほうへと走って行った。
残された麗と八代。
麗は相変わらず制服である。
「お久しぶり」
「どうも」
「待ち合わせしてるんじゃないの?」
鳥居のほうを指差すと、空桜たちが麗に気づいて駆けてくるのが見えた。
「もうそんな時間でしたか」
麗はかすかに笑うと、空桜たちに手をふった。