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13-5, 一人のクリスマス

春日崎真夜は、夜のまちを一人、歩く。

クリスマスのイルミネーションが綺麗。

こんな日は、彼氏と二人で夜遅くまで・・・

そんな夢を抱いている女子は意外と多いのかもしれない。


でも、私は独りでいい。

今はだれとも話したくない。


光をみていると、遠き日を思い出す。

幼少のころ、家族につれられて、夜のクリスマスを歩いたときのこと。

小学生のころ、友達と遅くまで遊んで、両親に叱られたこと。


そして、父親に包丁を突きつけられたときに見た、外の光。


楽しいこともつらいことも

すべて思い出させてくれる光。

それが、私は好きで 嫌いだった。


「もうこんな時間だし、送るよ」

「今日は渉の家にとまりたい 駄目?」

「え?家 誰もいないけど・・・ 大丈夫かなー」


そんな会話がきこえてくる。

異様に声のトーンが高い。

もしかして小学生だろうか?


かつての私みたいに、両親にたっぷり叱られるのかな

今のうちにその愛情を受け止めれたら いいのにね


そんなことを考えていると 聞きたくなかった名前が鼓膜に響いた。

「麗ちゃんいないの?」

「今日は友達の家に行ったよ」

聞き間違いであることを願いながら、そちらを見ると

その小学生の顔は 呼ばれた名前の主と瓜二つだった。


「そっか ねえ、いいでしょ?行きたい」

「ああ、うん いいよ」


あれが 雨宮さんの弟?

しかも彼女連れ

言われてみると、どこか雰囲気がにている。

でも、こちらのほうがずっと社交的だ。


ふと、彼女のほうと目があった。

そらすにそらせない真剣なまなざし。

戸惑っていると、話しかけられた。

「お姉さん、どこかで会ったことあります?」


あるはずがない

あるはずが


・・・・ない、ような あるような

なんだろう、この面影。


どこか懐かしい


「あ、やっぱり気のせいですよね ごめんなさい!」

そういって、彼女は渉と駆けて行った。


その途中、ひっぱられながら渉が振り向く。

私のことをわかるとしたら、おそらく弟くんのほうなんだけど

不思議そうな顔、してる。


雨宮さんて

自分のまわりの人のはなしとか

兄弟にするのかな


・・・しないと思うから

多分私のこと、弟くんはしらないはず


いや


しってる


そうだ、病院で


雨宮さんが横にいた あのとき

お兄さんも弟くんも いたんだ


直接話したことはなかったけど

最低でも背景としてうつってるはずだから、

どこかで見たことある顔・・・程度には覚えてもらってるのかもしれない。


だから


かな?


まあ別に忘れてていいんだけどさ


「あれ、春日崎先輩じゃない?」

「え?!うそ、何でこんなところでひとりで?」


次にきこえてきたのは、そんな会話。

振り向く気はない。

聞こえないふりをしていたほうが、いろいろ知れて得だから。


「え、誰それ?同じ部活?」

「えっ?!知らないの?!部活は一緒じゃないけど」

「私は同じ図書委員だよ、委員長さんだし」


どうやら三人いるようだ。

雨宮さんなら顔をみれば名前がでてくるのだろうが、

私は同じ委員会でさえ全員 一致させていない。

というか、覚える気がない。

だって 私、委員会なんて いい子ぶってるだけ だし


「容姿端麗、スポーツ万能!おまけにこの間の定期テストでは学年2位!」

「あ、そっか 1位は会長か」


笑わせないで


「すごいね!じゃあやっぱモテモテなのかな?」

「うーん でも噂によると あ、あくまでも噂なんだけど

 あの先輩、案外性格やばいらしいよ」


それが正解

性格なんて、生まれてこの方ずっと悪いのよ

嫌われ役なんてお手の物


「でもさ、どちらかというと会長のほうが凄くない?

 運動神経もかなりいいらしいし、何より眉目秀麗だし」

「一時期噂になった『神の彫刻』だね!私ちゃんとあのアングルから会長みたことないのに」

「変態かっ」


そうね

 完璧すぎる雨宮さんとは ちがうのね


私はあんな人気も 慈悲も

頭脳も 容姿も 

もちあわせてなんて いないの


でも

私は自分自身が一番ならそれでいい


自分を好きになれればそれでいい


いつか

自分を好きになれれば


終わりよければ すべてよし


だから

今年のクリスマスは自分と楽しむ


人生に絶望していたけれど

いろいろ思い知らされて

やっぱり私は 私でいたいって思った


だから


だから


今日くらい 羽を広げさせてほしかった



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