2-2, 吹部の部長
「じゃあね、私は、吹奏楽部があるから。」
午後、部活の時間。
「ん・・?そういえば、空桜ちゃん部活はもうはいってたっけ?」
「え?まだだよ〜・・・ 今日見学いくんだけどね〜〜」
転入生である空桜はまだ、どこへも正式入部をしていない。
「どこへ?」
できれば同じ部に勧誘したい、というような光った目つきで空桜をみる歌波。
「え・・・ 決めてないっ・・!」
軽くいわれてしまい、しょんぼり。
だが、何故か空桜は音楽室へむかう歌波について歩いている。
ちらちらと、空桜をみては首をかしげたり、肩をすくめたりする不思議な歌波。
空桜は気にせず廊下を進んでいる。
まもなく、音楽室がみえた。
ドアの前に、しぐれと似た服装の三年生くらいの女子がたっている。
おそらく彼女は刃流の生徒なのだろう。
──うわぁ・・・ 美人・・・・・
歌波は頬を赤く染める。
「誰、あの人??」
空桜もまた、彼女に興味があるようだ。
二人が彼女をみつめていると、音楽室の扉がひらいた。
中からでてきた揺る結びの、
「あ、部長!」
二人は目があうと部長はすっと微笑み、握手をした。
「あら、園部さん」
その直後、部長は此方に気が付いた。
隣の美少女も此方をむく。
空桜の頬も桃にそまった。
「此方、刃流吹部の部長さん」
此方の部長の紹介で、あちらがわがぺこりとお辞儀をする。
だが・・・・ 先ほどから彼女は無表情。
「よよよ、よろしくです!」
歌波はそう、緊張している。
「そうそう、鳩羽さんよね。 お手紙頂いたのだけれど・・・・
このお名前、なんとよむのかしら」
向こう側の話にもどる。
ぼーっとみつめている。
「りつもです」
「へえ、鳩羽立雲さんか。 良い名前ね」
「有難う御座います」
ふと、部長が立雲の顔を覗き込んだ。
赤面する立雲。
「あなた・・・ 恋、してるの?」
「え?」
はじめてみた。 立雲のこんな目を丸くした表情。
かなり、驚いているらしい。
図星なのだろうか。
「鈍感なのよ、あなた。 恋愛していて、まわりがみえなくなっちゃってる・・・
ってところかしら?」
「あの・・・・」
「いいわね、彼氏とかいるんでしょう?」
「・・・・・・・」
吹部の部長って・・・凄い。 あんな人だったんだ。
圧倒している。
一瞬、立雲を麗と似ているとおもった自分はなんだったのだろう?
空桜は二人をみて考えた。
楽器なんてとくに興味もなかったけれど、
吹奏楽部にはいってみるのも悪くない、空桜はそうおもった。