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13-2, クリスマス・イヴ2

夕方


白い部屋

そこへ入ってきたのは、珍しい客だった。


「えっと・・・・・ ・・・・・・

 ・・・・あっ、園部さんだっけ?」

名前を思い出すのに時間がかかるほど

見慣れない顔だった。


「はい・・・

 春日崎先輩 いっちゃいましたね」

「・・・・ ・・・・短期留学みたいなものだよね?」

「そうでしょうね」


話題がない。

ほとんど話したことのない相手。

何を言えばいいのか、わからない。

何故ここへ来たのかも、わからない。


「峰岡先輩って、春日崎先輩のこと尊敬してるんですよね?」

「え?・・・・まあ、そうかな」


何を言いたいのだろう。

話の意図がどうもよめない。


「・・・・夏から行くらしいですね 留学」

「あ、決まったの」

「・・・いってました」


この子・・・

先輩とどういう関係なんだろう。

私は、顔と名前が一致するくらいだったけれど。


「千景ーっ きたったでーっ」

不意に入口のほうから声がした。

刃流の制服をまとった、ギャルっぽい関西弁女子。

そして、その背後にもう一人。


「ちよ・・・と、紗優ちゃん」

園部歌波は窓の外をみていた。


「ずっとこれなくて・・・・何か、ごめん」

無表情の紗優。

声はよわよわしい。

「え?いや 何で謝るのって感じだよ!」

「事故ったってきいてびっくりして」

「うん~ でも、全然大丈夫だよ?」


「明日クリスマスやな~」

歌波を横目で見ながら、ちよが近寄ってくる。

「うん。暇かも」

微笑む千景。

それを紗優はみつめる。


ふと、千景が何かを思い出した。

「ちよ!」

「何?」

「今日クリスマスイヴじゃん!」

「そうだよ?」

隣にいる紗優にもいいたいことがわからない。

千景は、日付を確認すると、顔をぱあと明るくして言った。

「誕生日おめでとう!」

「…え?ああ!そういえば今日やな!すっかり忘れてたわ!ありがとう。…千景、覚えててくれてたん」

「そりゃ覚えてるよ」

紗優が目を見開いた。

「今日なんだ、おめでとう」

「おおきになー」


「で、ちよはどうするの?クリスマス。紗優ちゃんも」

「うち、クリスマス会に誘われてんけど・・・・

 千景と一緒におったろか?」

「え?そんなの悪いじゃん!楽しんできなよ」

そんな会話を歌波は聞き流す。

クリスマス会、もしかして空桜ちゃんとこかな?

・・・いや、そんなはずないかな。


歌波は気付かれないよう、部屋をでることにした。


先ほどまで歌波がいた位置に紗優がたつ。

でていくとき、一瞬だけ目があった。

だが、ちよたちには そのことを伝えなかった。

あとになって、「あれ?園部さんは?」と探される結果になる。


携帯をひらく。

何件もの着信があった。

そういえば全然見てなかったなと、一件ずつ読んでいく。

そして、三件目にひっかかる。

──クリスマスパーティ?


あの三人・・・・か

もしかして、このちよって子も?

くるときに少しだけ話したけれど・・・

この子、峰岡さんの幼馴染らしい。


私は峰岡さんとそこまで仲いいわけでもないから、あまり関係ないのだけど。

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