表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
75/97

12-4, ちよと幼馴染

「やっとテスト終わったあーもう結果とかなんで貼るのって感じだよねー

 乙時雨ははってないのにさー」

「乙時雨もはるようになったらしいよ?今回から」

「え、まじー?!やだ~」


今日も校門付近はにぎわう。


「ちよは楽勝だったっしょ?」

「まさか~ 授業あんまきいてへんし」

「きかなくてもできるじゃん うらやま!」


神近ちよは、クラスメイトたちと共に下校していた。

屈託ない笑みを浮かべ、楽しげに。


「実テが期末より先ってのが意味わかんなくない?」

「やんな!うちも思っとった」


勉強はずっと嫌いだった。


「ってことでカラオケ?」

「おお!いきたーい!」


授業だって、ほとんど真面目にきいていなかった。

テストで平均さえこせれば、別に問題ないと思っていた。


「あれ?ちよ、何かノリ気じゃなさげ?」

「え?あー病院行こうか迷っててんけど・・・ カラオケいこか」


けれど 幼馴染がいた。


「あれ、大会って今週末?」

「あー、せやなー

 テスト終わった日やから今日は休もってことなって」


彼女は運動ばかりできて

勉強は自分が教えてあげないと 駄目だった。


「そっか~ あっ、で、病院って?いいの?」

「ええよ、そんな毎日いっても迷惑やろ」


彼女のために

自分も勉強して

そして教えてあげなくちゃ、


小学生の自分はそう思っていた

だから当時は結構真面目だった。


「そうとは思わないけどな~。幼馴染なんなら、心強いと思うよ」

「いや~ 別に病気とかちゃうからな。心配ないって」


でも

勉強は嫌いだった


「でもさ、入院してるってことは学校休んでるってことじゃん?

 授業内容とかさー教えなくていいのー?」


今も昔も変わらず

嫌いなのに

あの子のために あの子のために


「え、他校やから 何教えたらええかわからんし」


なのに別々の学校に入って

教える機会もなくなって


「それにうち、勉強嫌いやから、そんなことのためにわざわざ行かへんわ」


勉強する理由がなくなった


「頭良いくせに何いってんの~?本当うらやま!」

「うらやまー!!」


「何それ はやってるん?」

けれど今、笑う。

悩み?そんなの、ない。


生きていて楽しい。


だって嫌いだったことを やらずにすむようになったんだから。


なら

幼馴染となんてもう、 別にあわなくたっていいんじゃないかって

思ってしまった


ずっと会ってないことを さみしいだとか、いつしか思わなくなった。


なのに

普段何にも口をだしてこない親が

珍しく話しかけてきたと思ったら


彼女の家から電話があったとか言って。


病院に行けとか言って。


言ったら普通に元気そうだった。

ずっと会ってなくて 彼女は結構さみしそうに微笑んでた。


罪悪感


自分は・・・

嫌いで 嫌いで・・・

大嫌いだった


期末前なのに勉強しない自分に

「あたしのために?」


ずっと昔からそうだった


何もかもすべて

幼馴染のためだった


でも

「わかってた」って

そんな表情してたから


どうしてだかわからないけど・・・

嬉しかった


迷ってしまったのは 一瞬だけだった。


今、悩みなんて ない。


「ほーらー、だからぁ

 もうそういう辛気臭い話なしやって!

 カラオケやろ?カラオケ!」

「あっは ちよらしいね~ 

 じゃ~カラオケしよっか!あ、おごろっか?」

「ほんま?!」

「うっそ~ あたし今月ピンチだし~」


だからこうして 笑っていられる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ