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11-6, 刃流の土曜日

「実力終わったあーっ」

元気よく部室の扉をあける立雲。


くすくすと笑う部員たち。

「あれ、部長、彼氏さんとデートしなくていいんですか?」

「え?なんで?」

楽器をとりだしながら、いつものスマイル。


「せっかくの土曜日なのに」

「んー 向こうも部活だろうから?」

吹奏楽部の部室はいつも明るい。

そしてみんな、仲が良い。


「先輩方、高校はそのままなんですか?」

「うん、なんで?」

「共学にかえないのかなーって」

「あ、そっかー でもせっかく中高一貫なんだし」


私に関する話題には、必ずといっていいほど八代がでてくる。

なんか、恥ずかしいよ、毎回。


ほかの部員の恋バナしようとすると みんな黙りこんじゃうくせに。


「あ、うちの高校って、乙時雨からも結構きますよねー。」

お、よくぞ話をそらしてくれました・・!


結構くる・・・か。

うららんはどうするんだろう?

刃流こないかな?


かすかな期待からついうかべてしまった微笑を、後輩たちが嘲笑う。

まあ、こういうのは日常茶飯事なんだけどね・・・。





─同時刻、バド部


二年生は冬の大会があるらしい。

一年生でもうまい人はでれるらしいんだけど、うちの部は残念ながら・・・。

あと、三学期はじめには乙時雨との交流試合があるから楽しみ。


なわけで、土日も練習に励んでいる。


この間話しかけてくれた先輩は、いつものことながら上手い。

声にはださずとも、心のなかで毎回応援するようになった。

それで気付いたのだが、思っていたよりもずっとファンが多く、その先輩のでる試合で応援の声が途絶えることはほとんどないらしい。


誰にでもやさしいんだろうなと、少し嫉妬してしまう。

目があうと笑いかけてくれる。それに最近、こたえられるようになった。


自分も負けないようにと、頑張った。

勝率がだいぶあがった・・・ 気がする。


「奏さんって、神近先輩のことすきでしょ」

先日きかれた。


同級生に話しかけられたのは久しぶりだった。

それも、先輩の話題。


すきかときかれたら、すきと答えると思う。

尊敬という意味でのすきだと、自分のなかでは認識している。


「神近先輩を見てると、自分も頑張ろうって気持ちになるよね」

同感だった。


妙にやさしい同級生のことも気になったが、これも先輩の力かもと嬉しくなる。


先輩、本当強い。

強くて、手本になるし 笑顔が綺麗だしやさしいし

なんだかうららんみたいっ


とっても嬉しい。

実力テストが終わって、部活がまたはじまって・・・ 楽しい。


しぐは部活が大好きです!







「おつかれーちよー やっぱ強いねー」

帰り際、先輩方の会話をきいた。


「そーでもないでー」

やっぱり楽しそう。


先輩きっと大会、上位に入るよね・・・・

靴をはきかえながら、想像する。賞状をもらう先輩の姿を。

絵になるよなあ・・。


「そーいえばー聞こうと思ってたんだけど、クリスマスあいてる?」


あ・・・。


「んーまあ あいてるっちゃあいてるけど 何かするん?」

え?

あいてる?んだ?


「いや、詳しいこときまってないけどさ。遊ぶでしょ?やっぱ?」

「せやなー あ、でも一年生の子にちょっと誘われてんねんー」

「は?え、マジで?」


うわあ、いやそう・・・。

そりゃそうか・・。


やっぱり、しぐたちのところなんかより 友達とあそんでくださいって言おうかな?

きてほしいって・・・思うけど

でも、遊びたい人と遊ばなきゃ・・だめだしね。


「ちょっと考えてみるわ!」


軽く罪悪感がした。

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