10-5, しぐれside
学校で認めてもらったのは初めてかもしれない。
こうして駄弁ったのは 初めてかもしれない。
しぐれの、久しぶりのバド部。
学園祭のために吹部にいっていたため、しばらく休んでいたのだ。
友達らしい友達も、かまってくれる先輩も、いつもならいなかった。
けれどその日の休憩時間、やさしげな笑みを浮かべた二年生が隣にすわっていた。
「もーすぐクリスマスやなあ」
「はい」
能天気な先輩。けれど、バドの腕は確かだ。
結構大会にもでているらしい。
憧れをいだくまでにはいっていないものの、いつもみていた。
「友達とパーティとかするん?」
学校でしょっちゅう一人でいるのに 友達のことをきくなんて、この人・・・。
表情がかたくなる。
「しますけど・・?」
何で自分に 話しかけてくれているのだろう
そんなことを考えながら。
「やっぱするんや~ こないだ学祭一緒におった人ら?」
「え、なんで知って」
「うち見てたからな。クラ上手くてびっくりしたわ」
赤面するしぐれ。
こんな風にほめられたの はじめてかもしれない・・・。
お世辞でないことを願う。
「他校の子と仲良いってええな」
満面の笑み。どこか空桜に似ている。
しぐれもほほえむ。
「あ、うち、部活で笑ってんのはじめてみた」
とても嬉しそう。
しぐれ自身は驚いていた。
今まで・・・
・・この先輩に、色々きいてみたいことができた。
たくさん、たくさん。
「奏さんの笑顔好きやわ」
先輩の率直な気持ちは
とても、とても嬉しかった。
涙がでてもおかしくないくらい、嬉しい。
学校で認めてもらったのは初めてかもしれない。
こうして駄弁ったのは 初めてかもしれない。
新鮮でやさしくて、温かくて。
「先輩・・・」
「ん?」
この人のこと、もっとしりたい。
そう思ってみたけれど 実際呼んでみると何から話せば良いのかわからない。
「もうー すぐそんな不安そうな顔するやろ?笑っとき?可愛いねんから!」
とてもやさしい。
今まで浮いていたことが嘘のように思えてくる。
自分からも何か、 何か話さないと・・・
「クリスマス会 来ますか?!」
衝動的にそう、いってしまった。
あわてて口をおさえるしぐれ。
先輩がくすくすと笑う。
「ええの?あ、うちは別に気にしやんねんけど、他校の子ら、気まずない?大丈夫?」
わざとらしさがまた、嬉しくて。
「みんなきっと歓迎してくれるから・・」
空桜や麗がこの人を拒むはずがない。
むしろ学校で友達ができたって、自慢すればきっとよろこぶ。
「ほないかせてもらうわ!誰の家でやるん?」
「しぐんち!」
嬉しすぎて、即答してしまう。
表情もいつも以上に明るい。
「そうなんや。何人くらいあつまんの?」
え?
何人くるんだろう。
空桜とうららんと・・・・
あと、りっちゃん先輩たちも誘うかな?
それと、うららんが紗優・・ちゃん?とか峰岡なんとか・・・とかいってた気もするけどな~
「ああ、千景か」
あれ?知ってるの?
「幼馴染やで」
えっ っと・・・
そうなんだ・・・・
じゃあまあ、知り合いもいるってことで・・・ ?
「よぉわからんなってきたな~ とりあえずまあ、よーさんおんねんな?
楽しみやわー」
楽しみ・・・
しぐと一緒に遊ぶのが
楽しみ・・・
嬉しい。
そんなふうに思ってくれる人がいるなんて
とても・・・とても。
しぐも・・・っ
楽しみっ!
けど・・・ クリスマスの前に・・・
うーん、 うららん覚えてるかな~・・?