10-4, 空桜side
商店街を一人歩いていた。
歌波やしぐれは部活、麗はあんな調子。
自分も何らかの部活に入れば暇じゃなくなりそうだけど・・・などと考える。
でも、興味あるものって、なんだかありすぎてわからない。
とりあえずクリスマス用のプレゼントをさがす。
雑貨屋をまわってみるものの、麗やしぐれの好みはいまいちよくわからない。
誰かに相談したほうがはやい気がする。
けれど、するならばクリスマスを一緒に過ごさないであろう人。
誰がいる?
結局何もわからない。
店のなかでぼーっとしていると、外に見知った顔がみえた。
あの子・・・!
衝動的に、駆けていた。
すぐに相手も気がついた。
が、若干忘れられているようで。
「渉くん、だっけ?」
「うん」
こいつ誰だっけ、的な顔で見ないでほしいなあ・・・
空桜がかるく苦笑する。
「あ、のね、うららんってどういうモノが好きなのかな?もらうとしたら」
「え」
何度みてもそっくり。
そっくりというより、同じ顔。
何故って渉が中性的だから?
渉はしばらく考えてこんでいた。
辛抱強く待っているものの・・・遅い。
「・・・・兄ちゃんはいつも本だったけど
別に嬉しくなさそうだったし?
かといって何が欲しいってきいても何もいわないから」
「本ってもしかして歴史の」
「そう」
うららんがいつも読んでる本、あれ 大切なものなんだね・・・。
でも・・・結局何をあげれば良いのかわかってない・・・。
「姉ちゃんて多分、お金で買えるものに興味ないんだと思う
だから気持ちの問題だよね」
・・・・。
返す言葉さえも見つからなかった。
自分は何もわかっていないけれど、渉は麗を知りすぎていると思う。
姉弟として当然のことだとは思うが・・・。
「じゃあ、そういうことだから」
「あ、ありがとう!」
完全に見えなくなるまで、その後ろ姿を見ていた。
少し離れた定食屋の窓から 空桜をみていた人もまたありけり。