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9-8, 兄弟の絆

トイレを済ませ、わけもなく・・・

わけもなくもう一度謝ろうと 空桜は思っていた。


麗を探す。探しているが、なかなか見つからない。


「空桜ちゃんだっけ?」


と 不意に話しかけられた。


「あ、えっとうららんの・・・」

「ああ 啓、な」


そうだ、うららんの、お兄さん と、弟の渉くん


「どうした?浮かない顔して」

「え、いや・・・ あの・・・ うららんの、目・・・のこときいて・・・私・・・」


視線をそらす。

心配そうな啓の顔も、麗と瓜二つな渉の顔も、見れる気がしなくて。


「そんなこと気にしてたのか?」

「私・・・」

「そんなの、空桜ちゃんが気にしたってしょうがないんじゃねーのかなぁ?」

「そうです・・けど」


落ち着かない。

なんだか・・・


「麗な、左が見えないかわりに、右目の視力が半端ないんだぜ」


え?

あ、そっか

だから見えてたんだ


あれ、見えてた・・・ 

そういえば峰岡先輩のこと結局・・・・



顔をあげてみると、彼らは笑っていた。


「笑おうよ?そんな顔してたら、姉ちゃん余計不安になるじゃん?

 笑わせて・・・あげてくれるんでしょ?」


渉の笑顔は いつかの麗の笑顔に、似ていた。


「なんか硝子だのなんだの、大変なことになってるっぽいけど、

 祭りを楽しもうぜ、麗なら多分あそこにいる」


中庭・・・?

啓がさすさき、芝の茂った中庭。

小さな子供たちが駆け回っている。


平和な、光景。


そうだよね

気にするも何も・・・ ね


ああばかみたい、自分ってなんでこんなこと気にして

後先考えず突っ走っちゃうんだろう

それが一番


うららんを傷つけていたのかもしれない・・・・


やっぱり、 ごめんね・・・





空桜が礼をいって走り去ったあと、啓は渉の肩に手をおいた。

渉は静かに微笑むだけだった。


中性的な顔立ちをした小学生

彼もまた、夢をみていた。


希望を捨て

家で一人泣いていた日々のことはもう すっかり忘れていた。


両親が事故に遭ったときも


自分に巡ってきた運命を

姉が庇ってくれたときも


そのせいで彼女の目をあんな風にしてしまったことを知ったときも


わかっていた


いつの日も いつの日も

今だって わかってる


けれど今はもう違うから

だから今度は自分が 誰かを変えるべきなんだと


今、 いま、


走る少女の姿を、ただ見つめた

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