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8-3, 裏切り

「一人ずつたてついたら殺されるんなら・・・ 集団でリンチしちゃえばこっちのものなんじゃないの?」

「いや、はじめは3人だったよ。てかたてついたわけじゃないじゃん」


「ためしてみる?」

「誰が何を」


「やってみる みたいな」


「断る 私は断る」

「私も」

「お前やれよ」

「は 無理」


体育館裏──

4,5人の女子が集まって こそこそと話している。

そのわりには声が大きいが。


「一人目と三人目はさ、ありえるけど 二人目と・・・あの春田ってやつは自殺なんでしょ?」

「てか一人目死んでないから」

「え?春田って事故死じゃないの?」

「自ら道路にとびだしたってやつだよ」

「まじで しらなかった」


「兎に角 分担よ」

「分担?」


「一人はほら、雨宮のところに潜入。いわゆるスパイ。 で、あとの奴らで仲間集めとかもろもろ。あ、私は企画しとくからどこにもはいらんわ。」

「ずるくね?」

「一人とか誰がいくし」

「歌波いけば?」


「え 私?」

歌波はそのときはじめて その場で口を開いた。


「さっきから黙って聞いてたけどさ どうなの」

「だって こわくない?集団っていっても・・・この人数じゃ」

「これから集めるんだし」


全員の視線が歌波に向けられている。

だが歌波は決して震えたりはしない。


「歌波あれでしょ、真岸辺だっけ。あれとつるんでるから」

「え、私らよりあっちすか?」


「それは」


「じゃあそれ利用して話しかけて、最終的に裏切るみたいなことやっちゃいなよ」


「え」

凍りつく。

にやけている顔もあれば、無表情もあるが 彼女だけは・・・・。


「裏切るって」


「友達になる 偽りのね」

「まずすか ちょっと頭いいよね」

「いいじゃんいいじゃん がんばってこいよー」


「・・・・・・・」

言葉がでてこない 呂律が回らない

どうしたら良いかわからない どうしようもない


「だってさあ」

歩み寄ってくる


「歌波って、雨宮に恨みあるでしょ?」



「じゃあよろしくね!

 さて 私らを裏切るか 計画通りあいつを裏切ってくるか・・・・・ アハハハハハ」


どうする

どうする

どうしよう


どうしようも ない


ならば


もちろん───・・・・・・・














「何考えてんの」

「・・・・・・・?ああ、ごめん」


近くの商店街 

とある喫茶店


一組のカップル


「それよりいいの 文化祭の準備」

「うん・・・・ だいたいできあがったし、吹部は。 まああの子次第じゃない」

「助っ人の」

「そう奏さん」


会話が続かない

それぞれ頼んだ飲み物を飲みながら

一人が窓の外を見ながら話すも

もう一人は上の空で


「春田に関係してる人だっけ それ」

「ん? うん雨宮さんと」


「あ この間春田の妹に何かいったとかいってたね」

「・・・・うん いった 自分でも信じられないよ 雨宮さんにあんなこといった私」


「うん 聞いた」


「うん いったよ」


「頑張ればいいじゃん」

「え?」


目があった。


「きてくれるかもよ、雨宮  ・・・・・吹部の演奏ききに」


八代・・・・・・・・・・・・


「頑張ったらいいよ 立」


・・・・・・・・うん

頑張る 頑張るよ


頑張るよ


まさか八代がそんなこというなんて おもってもみなかったけれど・・・・・・

まさかこんなにも 恥ずかしくて嬉しいことだとは 考えもしなかったけれど・・・・・・・・


頑張れば 良いんだ

頑張れば 良いんだよ


頑張るよ

八代のために


雨宮さんのために


聴きにきてくれる人たちのために



そしてなにより


──自分のために

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