8-2, 2年半前
現3年生の 入学式の時の話
桜も空も とても綺麗な日だった
皆の笑顔もまた輝いていた
ただ一つ 曇っていたのは己の心中
これからはじまるは中学校生活
期待も何もせず
ただ
周りの声に鬱陶しさを感じていた
クラスが発表されている掲示板
毎年恒例 私は出席番号1番
何組かなんてすぐにわかった
なのに何故
あの日あのとき
自分の一つ下の名前に 興味をもったのだろう
「雨宮・・・・ レイ?」
つぶやいた私に、後ろから
「うららです」
と 声をかけてきた人に 不思議なオーラを感じたのだろう
「同じクラスみたいですね よろしくお願いいたします」
彼女の笑顔は無邪気で可愛らしかった
そんな感情を抱いたのはそのときが初めてだった
「ああ、うん えっと私 新まどか」
苦手ながらも、私は笑って見せた。
作り笑顔だったのか、心底から笑えていたのか・・
今となってはどうでも良いことだが。
「雨宮麗です」
彼女もまた──・・・・・・・・・
「あ、あった 同じクラスだ」
「お、おおー!本当だ!良かった~立~~」
隣の板のあたりでは、また違った笑顔がみられた。
ボードの中のあたりをさす二人。
「出席番号並んでるし~!私ら最強だね!」
「頭文字同じだからねー 苗字」
「あ そっか!春田も鳩羽も同じじゃん!」
「あれ 気付いてなかったの?」
友情。
それは輝かしい、友達同士の、笑み。
「ん?ねえ未来」
「何?」
一人がある方向を指差したからだろう、二人は同じ方を向いた。
「教頭・・・だっけ?何してるんだろう?」
「何ていってるかきこえる?」
と、
「新入生代表の挨拶だってー」
「え?あの子が?ああ、新さん?」
「違う違う、あっちのツインの方」
そんな声がきこえてきた。
どうやら、教頭らしき人物が挨拶について話しているようだ。
「ああ、そういうことか」
「っていうか、あの子誰?あれって、入試トップだった子じゃないの?うち私立だし一応・・・」
「何で?」
「ほら、あの隣にいる子、新まどかちゃんっていうんだけど、何か小学校で超成績良かったらしいんだよ。もっといい学校いけたはずなのになんでうちにきたのってくらい。
だからあの子がトップだって思って・・・」
「あ、それだったら私もきいたことあるよ。あの子たちじゃないけど、頭良いって子が」
「あの人 誰・・・・・?」
二人がみつめる先の その少女
二つ結びが可愛らしく──・・・・・・