7-5, 紗優へ
大人気の生徒会長・・・・ そんな言葉 自分にはきっとにあわない
自分は人に嫌われないよう 生きていた
でも 結局は嫌われてしまった 憎まれてしまった
自分は最低な人間だ
愚かな人間だ
自分は 生きることの楽しさを忘れてしまっていた
それでも そんな自分をみとめてくれる
そんな人がまだいたなんて 夢にもみなかった むしろ諦めきっていた
嬉しかった
ただ ただなんとなく嬉しくて
「だから紗優ちゃんももう、雨宮さんのこと責めないでください
未来はのぞんでないはずなの」
「お前・・・・・ お姉ちゃんの友達なんだろ・・・ 憎いとはおもわないのか?」
「友達だからこそ 未来を救ってあげたいんですよ
あなたのお姉さん、そしてあなたに復讐なんて言葉は似合いませんよ。
事実を信じましょう?」
「事実を信じる?ふざけんな お前は良い子ぶってるだけだろ・・・」
震える声。うつむく紗優。
それをじっとみつめているのはしぐれ。
無表情である。
「確かに 私は良い子ぶっているようにみえるかもしれませんけど
きちんと親友のことをおもっているつもりです
でも、あなたは違うはずです
良い子ぶっているようにもみえないくらい あなたのお姉さんへのおもいは強いはずです」
紗優は言葉を失った。
瞳がゆらいでいる。
そして小さく 「お姉ちゃん・・・・」
そう、つぶやいた。
「私も奏さんも・・・ 他校の人間ですよ? それでも
協力者として認めてくれますか?雨宮さん」
認める・・・・・?
こちら側が・・?
今まで いや今、 自分は誰かにみとめてもらえてとても嬉しく感じている
そんな自分に 相手をみとめろと?
断る権利が・・・ もうないではないか
「ずるい人ですね・・・ 鳩羽さんて」
彼女は微笑んだ。
「笑ってるうららんが一番素敵だよ
可愛いんだからさ」
しぐれもまた 満面の笑みでかえした。
「雨宮さん 一応同じ学年ですから 友達になってくださいね」
立雲の笑みもまた 爽やかだった。
紗優はその日も空をながめていた。
ただ、 前までとは違う感情をいだいていた。
「お姉ちゃん 私、生きていていいの?
お姉ちゃんのところにいきたいよ。
でも、私がここにいたとしたら、お姉ちゃんは私のこと、見守ってくれるの?
お姉ちゃん!」
屋上で 彼女は叫んだ。