表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
36/97

7-4, 紗優のハンカチ

彼女は屋上にいた──。


いつものように、空を眺めて──。

それから、フェンスに手をかけ下を見て──。


もし私が死んだとしたら 悲しんでくれる人はどれくらいいる?

まず雨宮は必ず喜ぶし

お姉ちゃんの友達らしいあの立雲って人や椎名君が悲しんでくれるわけもないし

お母さんお父さんはお姉ちゃんのことしかみていなかった

それにもしかしたらお姉ちゃん、はやく私も 傍にきてほしいとか、おもってるかもしれない。

私がしんだら喜ぶかもしれない。


ならば、たとえ私が悲しまれなくとも

お姉ちゃんを喜ばせられるのなら・・・・・・・・・・・。


でも


一度とめられてしまうと なんだかもう 勇気がでない。

あの子の言葉は強烈だった。 思い出したくない人もいた。

そのせいなのか・・・・・?

今此処で立ちすくんでしまっているのは・・・・・・・。


そのときだった。 すぐ横に人影を感じたのは。

驚きそちらを向くと、風に流れた二つ結びが私の顔にあたった。

気がつかなかった・・・・・・。


その人は

とても とてもとてもとても恨んでいた・・・ いや今もなお恨み続けている人なのに

とても とてもとてもとても憎き存在なのに

その横顔が神の彫刻のように思えて


彼女は此方にハンカチのようなモノをさしだした。

SAYUとかかれたそのハンカチ。

それは昔 お姉ちゃんがかってくれて・・・・

すぐモノをなくす私のために名前をかいてくれた、それはそれは大切なモノだった。


私、また落としてたんだ

どうして気がつかなかったのだろう

自分が悔しい。

くやしみながら、私はそれを受け取った。

ありがとう、なんていわない。

何故ならこの人は憎い人だから。

ひろってもらっても 嬉しくもなんともない、そう思いたかったから。


「綺麗な字ですね お姉さんですか?」

神の横顔は私に笑いかける。

何度も洗濯してにじんでしまっている姉の字。


「お前はその綺麗な字の私の姉をころした」


なおも笑い続けている彼女。

麗しき笑顔。

今までこんな感情をいだいたことは、あっただろうか・・・。


「あなたのお姉さんをひいた車を 僕が運転していたとでも?」


「違う お前がいたからひかれたんだよ」


「ならば 僕がおしたとでも」


「精神的にね」


ゆずらない。ゆずれない。

だって お姉ちゃんが事故死した原因は・・・ この人なのだから。


そういえばこいつのこんな笑み・・・ はじめてみた

こんな風に笑えたのか・・・・・・・・?


お姉ちゃんの死を・・・ 嘲笑っているのか?

ふざけるな





「未来が死んだ日は、彼女の誕生日の日です」


誰・・・・・・!


そのとき彼女、いや、彼女たちはわってはいってきた。


驚いているのは私、紗優だけではなかった。 横の彼女もまた──。


「未来はいっていました。

 自分は何があっても雨宮さんを疑い続けて、うらみ続けると思う、て。」


「・・・・・・」



「でも私は雨宮さんはそんな人ではないと思っています。

 噂は耳にしていたんです、大人気の生徒会長の噂。

 それで私、昨日から考えていました。 

 彼女を精神的においつめたのは 雨宮さん自身ではなく、雨宮さんのファンの子たち」



・・・・・・・・・・は?


いきなりきて 何をべらべらと・・・・


「うららんに不信任をいれた3人を、みんなで探しちゃって。

 それで傷つけて 傷つけられた3人は自らをおいこみころして

 それがうららんのせいだと皆が言った

 だから比較的めだっていた春田未来って子をみんなはまた傷つけた

 それでうららんの噂ができあがった」



こいつ・・・・・・・・・・・?!


麗は目をまるくしていた。


突然現れたのは、二人の刃流生・・・・・・・・。


そして突然いい放った───。


「先輩に、うららんのこときかれて 色々教えたら 色々わかったから

 しぐ、うららんに会いたくなって きちゃったの」


「しぐれ・・・・・・・」


「すいません私 勝手に調べてしまって。

 先日・・・ 未来のことを思い出して、それで奏さんが詳しいときいたもので」


「鳩羽さん・・・・」


唖然としている麗と、怪訝な表情の紗優。

こいつら 何者・・・・・・・?

紗優は眉間にしわをよせる。


それに対して しぐれは屈託無い笑みをみせた。


こいつら

笑い方 似てる・・・・・・・・・?

でも雨宮は屈託無くない感じがする・・・・

というより、悩み事を隠して笑っているように感じられた。

でも似てる・・・・・。

紗優は不思議でたまらなかった。


「ほーらっ しぐ、うららんのこと支えるっていったっしょ!

 だからね・・・ 悪い噂を明らかにして、それをといて、うららんの人気をとりもどしてあげたいなーって。

 そしたらね~、しぐ、うららんファンクラブの会長になるんだぁ」


「私は、よく状況がつかめていない外部の人間ですが、未来の親友なんです。

未来が本当は悩んでいたのでないかとか、事実を知っていたからあんな風になっていたのではないかとか、いろいろ考えました。

私、本当のことを知りたいの。だから、そんな理由でも、私は雨宮さんに協力したい。 駄目ですか?」





「嬉しい・・・・・・・・・・です」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ