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7-3, 「さゆ」

「それでこのハンカチなんだけど・・・・」


麗の兄がかえったあと、空桜はうららに尋ねてみた。

先ほど預かったハンカチについて。


「それ、名前はかかれていないのですか」

「かいてあるよ、さゆって」

「さゆ?それだけですか?」

「うん そう わかる?」


麗はしばらくかんがえ、そして口をひらいた。

「この学校に"さゆ"の文字がつく女子生徒は4人いますね

 3年B組前迫小百合さん、2年A組春田紗優さん、2年C組白北さゆかさん、

 そして1年A組山本沙友里さんです」


それをきいて空桜は唖然とした。

「なんでわかんの・・・・・・?全員の名前おぼえてんの?」

「はい」

即答。


開いた口がふさがらなくなってしまった空桜。

それを怪訝な表情でみつめる麗。


どうして不思議な光景である。


「わわわ・・・ わたし、春田さんって人しかしらないや・・・・・・・」


「ええ、僕も事実上は」


事実上・・・・・・・・?

ほか三人はただ名前をしっているだけってことですか・・・・?


「じゃああたし、春田さんって人にきいてきたほうがいいよね・・・」


「あ、僕がいきましょうか」



え、でも・・・・・・・。

その人とうららんは・・・・・・・・・・。


「いきますね。 かしてください」


はい・・・・・・・・・・。


仲直りするつもりなのかな

誤解をとくつもりなのかな


春田さんはうららんのこと 嫌ってた・・・・・・・・・。


仲良くしたいのかな

過去を忘れてほしいのかな


うららんは春田さんのこと どうおもってるんだろう・・・・・・・・・・・。


情けない?

それとも憎い?


忘れたい存在?

謝っておきたい人?

それとも謝ってほしい?


わからない。


わからないまま、わたしはあのハンカチをわたしてしまった。


もしそれが彼女のものだったとしたら?

もしちがっていたとしたら?


彼女はどんな反応をするのだろう。


わからない。


わからないけれど、うまくいってほしい。

そう願ったのか、わたしはわたしてしまった。

うららんはでていってしまった。


うららん・・・・・・・・・


ごめん ごめん


ごめんね 無責任で


ごめんね


悩ませちゃって


ごめんね


こういうとき 支えてあげられなくて


悔しい


悔しい


悔しい


自分が 憎い


うららん 


ごめん


わたし・・・・・・・

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