7-2, あの日の着信
時間は少し さかのぼる。
それは先日の夜のはなし──。
彼女の家のチャイムは突然、なった。
時刻は夜の8時。
─こんな時間に・・・・・?
彼女はそんな疑問を抱きながら玄関へとでる。
そしてあけたドアの先にたっていたのは見知った顔の彼。
「どうしたの?」
「ききたいことがあったから」
「えっ 電話でいいじゃない・・・」
「なんとなくきたかった」
その言葉をきいて彼女はすっと微笑んだ。
彼を通し、静かなリビングへと案内した。
「今お茶いれるね」
「いや、いい」
「え?」
しばらく黙ってから、彼女も向かい側の椅子に座った。
「春田が亡くなったの いつだっけ」
「は・・・・?」
いきなりすぎるその質問に、彼女は言葉をうしなう。
「7月10日・・・・・ 未来の誕生日の日・・・・・・・だよ」
「やっぱりそうか・・・・」
「どうして?」
「携帯のさ、 メール整理しようとおもってたらみつけたんだよね
春田からの着信、7月9日」
「え?7月9日??」
「自分は何があってもあの生徒会長を疑い続けると思う。そしてうらみ続けると思う。っていう感じの文章だった」
「どうしてそんなものが・・・・」
「君、あるいはほかの誰かと間違えたんじゃないか?」
「・・・・・・私?か誰か?」
彼女は戸惑っていた。
どうして・・・ どうしてそんな文章を亡くなる前日に・・・
そしてどうして彼のところへ・・・?
「俺そのときは気にかけてなかったけど・・・
今みたらさ。これ、事故死じゃなくて自殺だったんじゃないか」
「ちがっ!!」
思わず、彼の口をふさいでしまった。
「ごめん・・・・・ ごめん・・・ 私もそうじゃないかって思ったことあるのに・・・
私・・・だめ・・・ 受け入れたくなくて・・・ ふわ」
今にも泣きそうな彼女を、彼は抱きしめた。
赤面する彼女。
しばらく・・・ 彼等はそのままだった。
──翌日
彼は一人、商店街を歩いていた。
そこで見つけたのは、一枚のハンカチ。
SAYUと名前のかかれた女物。
よくみると、前に女子がいる。
彼は話しかけた。
「落ちてたけど」
呼び止めた女子は、そのハンカチを受け取ってから、こういう。
「わたしのじゃないんです」
そう、彼女は答えたが、どうやら持ち主をさがしてくれるらしい。
有難い。
ならばもう、用はない。
彼は立ち去ろうとしたとき、不意によびとめられた。
最近よくみかけるシスコン野郎だった。
なんとかそいつをおしきり、彼は再び歩き出す。
そのとき、携帯の着信がなった。
メール・・・・?
【八代ー、未来の妹のさゆちゃんについてわかったことがあるから、後で話せる?】
その内容をよんで、彼ははっとした。
先ほどのハンカチに書かれた名前・・・・
さゆ・・・・・・・・
まさか。