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5-4, 渉へ

麗がいなくなってからも 彼等の会話は続いた。


「お前さ 一人でここいんの」

「じゃなかったら何」

男だけになったその場に流れる、気まずい雰囲気。


「俺んとこくるか?」

手を差し伸べる、兄。

「何いきなり・・・・気持ち悪い」

頬を赤らめる、弟。


「小学生一人で暮らしてるとか異常だろ」

頭をぽりぽりとかく、啓。

それをいやらしそうに、渉は見つめる。

「今までほったらかしだったくせに」

「麗がいるとおもってた・・・・」

こたえた啓の泳ぐ目をみて、渉は事実を悟る。

「嘘 兄ちゃんも知ってるだろ・・・」

その言葉に啓は黙り込む。


しばらくしてから、彼は口をひらく。

「・・・・・・・知ってる」


そして沈黙がながれ、 啓がそれを打ち消すように口を開いたものの

「お前 何食ってんの?」

「コンビニとかで買ってる」

「・・・」

話が続かない。


「金は」

「あるじゃん」

まあ・・・・ そうなんだけどな・・・・

啓も渉ももう 限界に達しているのかもしれない

何の限界か・・・? それぞれの そう、限界


「兄ちゃん、かえるな・・・ 」

啓はついに そう、きりだした。


「とりあえずさあ 顔出すだけでもいいから、たまには来いよ」

歩き出そうとする啓の姿を、ただ見つめる渉。


「今すぐ俺んとこ来いつってもお前無理だろ?だから住み込むのは無理でも

とりあえず来てくれ。

まずお前がかわんねえと 姉ちゃんもかわんないぜ?渉」

渉ははっとして、顔をあげる。

そこには兄の笑顔があった。


「じゃあ」

兄は笑んだまま、沈みきった夕日の方へ、姉と同じようにきえていった。


"まずお前がかわんねえと 姉ちゃんもかわんないぜ?"


その言葉が何度も何度も 渉の脳内を廻った。


──そうしたら、みんな 変われるのか?



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