5-1, 試験当日
最近ちょっと楽しい。
まわりがみんな勉強勉強!っていって、かまってくれなくて
暇だったけど・・・
あたしと同じで試験勉強はしません!って子がいてよかったなぁ。
それがうららん!
生徒会室で難しい本よんでたからきいてみたら、
「ああ、来週試験でしたか忘れてました」
平然とそういわれた。
「勉強しないの?」
そうきくと、一瞬鋭い目つきで此方をチラ見してから、
「してますよ」
と、読んでいた本の表紙をみせてきた。
なんだこれ・・・ なんかの参考書?なんだろうけど
これ範囲じゃないでしょ・・・
そもそも中学レベルじゃないよ・・・
まさか受験勉強?
「趣味ですかね。試験にも受験にも役立たないでしょうが」
彼女は不気味に笑って見せた。
そしてそのまま
10日ほどたった。
*
私、新まどかは緊張していた。
これから、定期試験・・・。
もう三年の二学期。これで失敗すると、内申があぶなくなる。
そうおもうと、いつも以上に緊張してしまう。
参考書を手にもってはいるのものの、どうも集中できず
無駄にぱらぱらとめくっているだけ。
はやくおわってほしい・・・。
ガラッ、そのとき教室の扉がひらいた。
きたっ! はじまる・・・。 そう思い、扉の方をみた。
そして、驚いた。
教師ではなかった。
雨宮さん・・・。
二学期初めの試験が終わって以来、彼女はこの教室に顔をださなくなった。
てっきり、この試験にもこないのかと思っていた。
だが、彼女は今、扉の前に無表情で立っている。
まわりも唖然としている様子。
「遅れてすいません」
彼女はそういい、しばらく空席で埃がたまってしまっていた机へと向かった。
そういえば、今回から順位がはりだされる・・・・。
雨宮さんは、答案を返却されたときだって、いつもどおりポーカーフェイスだから。
いや、それ以前に、かえされた答案を、開くまえにしまっていた気がする。
人前では見ない・・・・のか。
その後はいってきた試験監督の教師もまた、麗の顔をみて凍り付いていた。
*
「やめ!」
試験監督の合図で、一斉に答案用紙を裏返した。
ふぅ・・・・・・・。
小さくため息をつく。
テスト・・・・ おわったぁぁぁぁぁっ!!
まわりで皆が終わった終わったと騒いでいる。
つかれたよ、五時間。
「空桜ちゃん」
ふと、肩をぽんとたたかれた。
振り向いてそこにいるのはやはり歌波。
「終わったね、どうだった?」
「無理だよ~~ もぅやば~~~い」
「そんな」
歌波が苦笑する。
「勉強あんましできなかったんだよねぇ」
「うん・・・・ そう」