4-3, 瓜二つ
面倒くさかった昼の委員会、そして後の二時限もおわり時は放課後。
空桜は歌波は愉快に商店街を歩いていた。
歌波の部活が珍しく休みだったのだ。
歌波によると、部長の機嫌が良かったらしい。
それで、なくなった。よくわからない活動方針。
まあそんなことで、歌波が「やった~っ!久々に休める!」なんていってるものだから。
あたしもうららんに手ふりかえしてもらってまだ、嬉しいのが続いてるんだもんね。
しばらく買い食いをしながら歩いていると、
「歌波ちゃん!」と呼ぶ声があった。
歌波が振り向く。
「ああ、彩葉ちゃん。こんにちは」
二人の、小学生?がいた。
歌波は二人に挨拶をした。
「従姉妹なの。 えっと、そっちは、ボーイフレンド?」
この女の子の方が従姉妹。それで、もう一人の男の子の方は、歌波も知らないのかな?
空桜は頑張って関係性を把握しようとしている。
それにしてもこの子・・・・。
「え?違うっ、違うよ!家が近所だから、一緒に塾行こうって、それだけ!」
否定はしているが、顔は赤い。
片思い、か。
ふと、歌波が隣の少年の顔を見て固まった。
それに反応する空桜と歌波の従姉妹さん。
彼女は首をかしげているが、私にはわかった。
私も、思った。
やっぱり、そうだ。
「似てる・・・・。」
歌波がそう、呟いた。
同感。
「似てる?」
従姉妹さんがわからない、というように問う。
歌波は話題をかえようとした。
「私、園部歌波」
「はあ」
さり気無く少年に自己紹介したつもりが、かえって警戒されることになる歌波。
「あああ、あたし空桜!ね!」
歌波も私も、自己紹介したくしてしてるんじゃなくて、この子の名前知りたくてしてるんだよ。
うん、歌波もっていうのは多分だけど。 気付けよぉ・・・。
気付いてくれたのは従姉妹さんのほうだった。
「えっと、渉だよ」
彼女が紹介してくれた。
でも、下の名前はきいてもぴんとこない。
何故私たちがそんな、彼の苗字をきにしてるかって?
だってさ、この子・・・・・。
仕方がない。単刀直入に聞くしかない。空桜が口を開いた瞬間、
「雨宮麗さんって、知ってる?」
歌波にさきをこされた。
その歌波の問いに、彼は一瞬凍った。
そしてすぐに「うちの姉ですけど」とかえしてくれた。
「やっぱり!」
「似てると思った・・・・」
そう。
彼はとてつもなく・・・、 麗に似ていた。
身長と髪型以外はまったく同じといっても良いほど、瓜二つという言葉が似合う。
どういう関係なのだろう。
空桜達は不審におもっていたのだ。
「似てると思った それだけですか?」
「え?」急に問い返され、戸惑った。
どういう意味?
「別に それなら良いです」
渉はそういって、早足で其処から立ち去った。
「あ、渉?じゃあ、歌波ちゃんまたね!」
従姉妹さんも、彼を追いかけ走っていた。
取り残された二人は商店街の真ん中で、顔を見合わせた。
「あんなにも似通った兄弟がいるんだね、あの人にも」
「あたしも驚いたよ~~っ。 うららんそっくりなんだもんね~~~っ なんだか中身まで似てない?」
空桜がはしゃぐ。
「え?」
それに対し、歌波は目を丸くした。
「うららんって、今いった?」
「うん。なんで?」
歌波は咄嗟に、空桜への警戒の色をみせた。
「空桜ちゃん、会長とそんな親しくなったの?」
「え?うん!あたしがうららんを支えたいなって思ったのね」
「そう・・・・」
楽しげにあたりを見回している空桜に、歌波は哀しげな顔を向けた。
「あ!あれおいしそう!買い食いしてこっ!」
空桜はそれに気付きはしなかった。