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4-1, 朝の生徒会室

朝目が覚めると、自分がいるのはいつも生徒会室。

生徒会の仕事がたまってしまい、部活が終わった生徒たちがかえってからも作業を続けているのだが

気が付いたら寝てしまっている、そんな毎日。


何故たまるか。 此処の学校はもともと生徒会が取り仕切らなければならない行事が多いというのに

それを一人でこなさなくてはならない。

前回、体育祭の企画がようやくおわった、そう思えば次は吹奏楽部が隣とコラボの計画?

何故、部活での企画までもを生徒会にまかせられなければならないのだ。


自分が立候補した生徒会は、もっと活気あふれるイメージだった。

副会長がいて、書記と会計がいて、共に仕事をしていくのが楽しい、 

それを思い浮かべていたというのに。


自分が生徒会にはいってからというものの、

校内の風紀は乱れ、自分自身の評判さえも悪くなっていっている。

ならば逆に・・・ それを利用してみようではないか・・・・。




朝、

コンコンと、ドアをノックする音があった。

「失礼します・・・・」と、震えながら入ってきたのは、

和風なストレートロングが可愛らしい、歌波とかいう子。

「あの、会長。 吹奏楽部の・・・園部です。 部長から、コラボの企画書預かってきました・・・。

あの、えっと昼までに意見がほしいとのことなので、またきていいですか・・・。」

緊張しすぎているのか、言葉がまとまっていない。


だが麗はあまり気にしなかった。

ただ薄く微笑んで、

「わかりました。 昼までに目を通しておきますね」

と、企画書を受け取った。


「ででで、では失礼しますっ・・・」

そう、歌波がでていこうとしたときだった。

不意にドアがひらいた。

「失礼しま・・・・って、歌波?!」

はいってきた、目を大きく見開く彼女は、真岸辺空桜。


「あ・・ 空桜ちゃん・・・・。」

「何してたの?あたしちょっと、会長に用事があったの」

「あ、私は・・・ 用事済んだので、失礼しますねっ」

歌波は空桜のよこを通り抜け、かけていった。


「それで、用事って?」

走り去る歌波を怪訝な顔でみつめていた空桜に、麗が声をかけた。

「用事というか・・ その、はなしたかっただけなんですけど。」

「どうぞ」

イスをすすめる麗。

「あ、はい!」

いつもと違って少し・・・ もじもじしているかのようにみえたのだが、

見間違いだったのだろうか。


「昨日、しぐれと話したんです!」

「しぐれと?」

不思議そうに、でも無表情で聞き返す麗。

「はい!会長のことです!やさしい人なんだねって話ですよ!

前、すっごく人気だったんですよね。それで急に変なことになったみたいだけど、

それって人気だったからこそおこったようなものなんじゃないかってことです。

オカルトチックですけど」


「はあ」

意味がよくわからない。

どれが結論だ。

「だから、あたしとしぐれで会長のことっ!支えたいなって思ったんです!

例えばあたしだったら、生徒会に立候補することだってできるんですから!」

その言葉には驚いた。


支えたい?何故僕なんかを。

生徒会に立候補して何をかえようというのか・・・。

いったい僕の何をもとめているんだ。

この人・・・・。 まさか。


「それで、あの、あたしもしぐれみたいに、うららんって、呼ばせて!」

「はい?」

「い・・けなかったですか?!」

反射的にたずね返してしまったせいか、急に強張った表情をみせてきた。

「いえ・・・ 構いませんが」

いきなり・・・・ 何をいいだすかと思えば・・・・。


「じゃあそうよびます!あたしのことも普通に空桜ってよんでください!」

「はあ」

ほかにかえす言葉がなかった、それだけなのだ。

「じゃ、じゃあっ!昼休みとかそこらへんにまたくるんで!!そのときに何か話しませんか??」

「お待ちしております」

話すことなんてない。

ないけれど・・・・、もしこの人が・・、 そうなんだとすれば・・・。


何かがかわるかもしれない。

僕のなかの何かではない。

だが・・・ きっと。


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