3-6, 麗との出会い
「前までは超モテモテでホワイトデーとかお返しどころじゃなかったよ!!
なのにねー、選挙があったんでしょ?それで何人かが不信任にいれたっていうから、
みんながそいつらうざいうざいいってたんだよ!!」
空桜はしぐれから、麗のことについてきいていた。
部屋で寝転がって話している。
こんなちっこいベッドでよく落ちないねだとか、ここまで部屋狭いと運動できなくて太っちゃうでしょとか、
本人にそのつもりはないのだろうが色々と皮肉をいわれた。
さすがはお嬢様。これでもけっこう大きいほうだと私はおもっているんだけどな。
「それでうざいっていわれて、死んだわけ?精神がみだれたとか?」
「死んだって・・・ 普通にいうかなぁ空桜ちゃんっ。
精神が乱れてそんなことになるって、オカルトチックじゃない??」
文句を並べていたわりには寛いでいるしぐれ。
空桜は椅子に姿勢正しくすわっている。
「そうだけど、じゃなかったら"不幸"なんていうほどのこと起こらないでしょ?
それとも会長は超能力者なの?それこそオカルトチックだよー!」
「そっかぁ・・ じゃあ春田って人も、それであーなったのかな?」
あーなった、ねぇ・・・・。
春田未来って人はたしか、選挙管理委員長であることを盾に会長のことをせめてたんだったっけ。
それでまわりの人が?
それが不幸の正体なの?でもそれってできすぎてる・・・。
せめこみにまでいったひとが、たったそれだけのことで自殺なんて、するもの?
あれ、春田さんて事故死じゃなかったっけ?
「でもさ、しぐれよくしってるよね。学校違うのに。」
少し、疑問におもった。
「うん、調べたんだぁ。色々あって。」
「色々?」
その色々のなかに・・・ 彼女の孤独もまじっているのではないか、そんな気はしていた。
「きいてくれる?」
「うん?」
大きな瞳は此方にむけられいた。
なんて深刻な・・・。
「しぐはさぁ、中学生になってから友達できなくてぇ・・・。
なんでだとおもう?」
「なんで?」
いじめられていると、風の噂できいたが。
「こわかった ・・・・・・・・・。
小学生四年生のときだったっけ。クラブ決めるときに、本当は運動部いきたかったんだけど、
まわりがお前チビだからくんなとか、いってきて・・・ それですっごくへこんでたの。
文化系のクラブだって、みんな嫌な目でみてきた。
そりゃあね。みんなしぐのこと嫌いだったんだ。
だからどこにも入りたくないなって思ってた。でも強制参加だもん・・・。
まよってたらね、知らない六年生の子がはなしかけてきたの。
それがうららんだった。
吹部に誘ってくれたんだよ。だから、一生懸命頑張れた。
仲良くなれたし、友達なんだとおもってた。
でもその春卒業しちゃって・・・。
乙時雨にいくとはきいてたんだけど、おえなくて。
でもね・・・ 刃流にはいって・・・ 嫌になって。
そんなときはうららんのことおもいだすようにしてたのにさぁ、
あんな嫌な噂きいちゃって・・・ なんか絶望的で・・・。
しぐのしってるやさしいうららんはもういないのかなぁって思った・・・・。
だから友達をつくるのがこわかったのかな・・・。
でも違ったんだねっ。
空桜ちゃんが気付かせてくれたよ!!
うららんのやさしさ!!!友達なんだもんね!!!」
はじめてきいた、しぐれの過去。
どうしてそんな事実を笑顔ではなせる?
もう思い出と化してしまっているの?
私のおかげなんなら嬉しいけど、しぐれって凄いなぁ。
幼稚な子だっておもってたけど、なんだか強い子。
逆に元気をわけてもらえるよ!
「良かったねっ。会長みたいなやさしい友達がいてっ」
「うん!!!だからしぐ、空桜ちゃんに協力するね!! うららんの噂をけそー!!だいさくせーん!!
でしょ??」
けそー!だいさくせーん!って、なんだ。ふきだしそうになるのをこらえる。
「がんばろっか!」
元気をわけあおうよ、しぐれ。
「おー!!」
なんだか久しぶりに、気持ちよく笑い合えた気がした。