23.青騎士団詰所にて 1
王都をぐるりと囲む10階建てマンションより高そうな幅5メートル以上もある城壁。
さらに全団員が魔法剣士でもある黒騎士団による魔法で強度アップ。
難攻不落の城塞都市、王都カレイド。
その城壁沿いの東西南北に各騎士団の詰所と外からの唯一の出入口である大門がある。
南に青騎士団、東に白騎士団、北に黒騎士団、西に大門。
白騎士団は王城の近衛騎士でもあるので王城にも詰所がある。
ヨルンさんのいる青騎士団は城壁内の警備と人による城壁と大門の守備。
デレクさんのいる黒騎士団は城壁外の警備と魔法による城壁と大門の守備。
いまあたしは城壁の東側にある青騎士団詰所の大きな門を見上げている。
口をぱっかーんと開けて。
でかっ!!
そびえ立つ城壁に見合った門構えとその後ろに垣間見える堅牢な城塞を思わせる建物。
これはもう騎士団の詰所レベルじゃないでしょ。
ここだけで籠城戦とかできちゃいそうだよ。
首都のど真ん中にある王城がこれまたデカくてめっちゃゴージャスなんだけどこの詰所みたら納得だわ~。
「ぷっ。お嬢さん。」
優しげな声にハッと口を閉じる。
「こっちに気付くまで待ってるつもりだったんだけど。ごめんね。」
声のしたほうを見ると巨大な門の左右にある小さい建物の右側から人が出てきた。
「ご、ごめんなさい!阿呆ヅラさらして!」
なんかデジャヴだな。このパターン。
慌ててガバッと門番らしき騎士さんに頭を下げる。
「阿呆ヅラって!」
この騎士さん笑い上戸らしい。
肩を揺らして笑いをこらえている。
相手が女性だからと爆笑したいのを必死に耐えてくれてるみたいなんだけど身体がプルプル震えてるのでバレバレです。
呼吸が苦しそうだけど大丈夫かしら?
なんか余計な気を使わせちゃって申し訳ない。
「もしかして隊長と副隊長に食事の配達に来てくれた人?」
ようやく笑いのおさまった騎士さんに謝罪の意味もこめて再度ペコリとおじぎする。
挨拶大事。基本です。
「そうです!ユミ・シトーと申します。」
「隊長から話は聞いてる。ひたすらまっすぐ行くと受付があるからそこで用件を伝えてね。」
「ありがとうございます!」
門の下にある通用口みたいな扉を開けてくれた騎士さんに笑顔でお礼を伝えて中に入る。
ヨルンさんちゃんと隊長さんに話を通しておいてくれたみたいね。
さすが~。できる男はちがうね~。
扉をくぐってまず目に飛び込んできたのは緑色。
だだっ広い公園みたいな空間の奥に建物が見える。
青々とした芝生はきちんと手入れされていて。思わず寝転がりたくなっちゃうわ〜。
今日みたいなお天気いい日にお昼寝したら気持ち良さそう。
中もやっぱり広いなぁ。
受付に着くまで何分くらいかかるんだろ。
早く出てきて大正解だったよ。




