20.忘れた頃に
さらに3ヶ月が経過いたしました。
向こうでの生活を忘れかけてるくらい馴染みまくっております。
順応性の高さには定評あったからね～。あはは。
今日はお店が定休日の光の日。
お休みだけどいつも通り5時に起きて洗濯&掃除して大好きな市場へ。
テレビとかネットとかないからね〜。料理したりアレコレ用事片付けても22時くらいには寝れちゃうのよ。
おかげさまで目覚しアラームがなくても朝5時にはスッキリ爽快ぱっちり目が覚めるという健康的な日々を送ってるわ。
いつもの喧騒と食欲を誘う香り。
職場も市場内だし休日も来てるし市民市場のことならあたしにまかせといて！
ちょっと小腹が減ったので顔馴染みの屋台で肉まんを買ってもぐもぐ。
美味しい～♪
ほんと来たのがこの世界で良かったよ。
食とっても大事!!
肉まんを食べ終わり別の顔馴染みの屋台でミルクティーを買ってゴクゴク。
ここのミルクティーは爽やかな甘さがいいのよね～♪
買い食いしながら屋台のお店をちらり。
通りがかったサンドイッチのお店やお惣菜屋さんのショーウィンドウをちらり。
この市場内のお店は全部チェックしてみたんだけど。
無いのよ〜。あれが。
この世界ってルエンカ皇国のおかげでお米やお味噌があってお馴染みの和食メニューもたくさんあるんだけど。
日本のソウルフードが無いのよ。
あたしのお弁当の大定番、簡単便利で美味しい上にお腹も大満足なおにぎりが。
趣味の散策がてら市場調査してるんだけどまだ１度も店頭に並んでるのを見たことがない。
職場でもほかほかご飯しか提供してないし冷たいご飯を食べる文化がないのかな〜と思っている。
お酢と油揚げと海苔があるのにお稲荷さんもお寿司もないし。
冷たくても美味しいのに〜。
デレクさんやシェイさんも美味しいって言ってくれたし一度食べてみたらわかるのになぁ。
そんなわけで。
ちょっと目論んでいるわけです。
もう少しお金が貯まったら日本の駅とかにあったようなおにぎり屋さんをやろうかと。
だって絶対需要あるもの。
冒険者、騎士、商人、ガテン系の人。体力勝負の人たちにはご飯が一番！
なんてったって昔の飛脚は玄米食べてあのスタミナ維持してたんだよ。
腹持ちいいしパワーの源だよね〜。
いま滞在してる暁の空の近くにお店出したらけっこうイケるんじゃないかな。
大門入ってすぐだから冒険者とか商人が必ず通りかかるし市場にも近いし。
開店資金もあと半年くらいで何とかなりそうな感じなのよ。
おにぎりと卵焼きとか唐揚げ作るくらいだからちっちゃな店舗でいいからね。
「ユミちゃん？」
内装とかおにぎりの具とか考えてニヤニヤしながら歩いていたら。
何だかうっすら聞き覚えあるような声に呼び止められた。
はて？と思いながら振り返り・・・固まりました。
思ってたより近くで陽射しをあびてキラキラ輝く金髪。
そのすぐ下にはアクアマリンの瞳と麗しい笑顔。
よ、よ、よ、
「ヨルンさん・・。」
