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小鳥の囀りで目覚めるという素敵な朝を迎えた異世界2日目。
朝までぐっすり快眠しスッキリシャッキリ起床。
昨日の残り食材でスープとオムレツを作って美味しくいただくと、あんなに買い込んだはずの食材が空っぽに。
今日も買い込むぞー♪
荷物大丈夫かって?
昨日の夜ハッと思い出しましたよ。
自分がマジックバック持ちだったことを。
エリスさんに申し訳ないことしちゃった。
今度お肉料理をたくさんごちそうするのでご勘弁ください。
便利なマジックバックだけど。コッソリ人目を気にして使わないといけないわね。
ギルドとか市場とか昨日行った場所で使ってる人を1人も見なかったのよ。
それで自分が持ってることを思い出さなかったってのもあるんだけど。
かなりのレアアイテムかお高い貴重品だと思うのよね〜。
使ってるとこ見られたら強盗&誘拐犯ホイホイになりそうな予感。
市場に行ったら目くらまし用のバックを買わないとだわ。
「こちらがギルドカードです。紛失されますと再発行手数料として銀貨5枚いただいております。ご注意ください。」
「はい。ありがとうございます。」
お礼を言って銀色のカードを受け取る。
ランクC.D.E.はシルバー、ランクA.Bはゴールド、幻のSランクはミスリルっていうめちゃくちゃ希少な金属でできてるんですって。
もちろん私はバリバリのEランクです。
「早速なんですが、お仕事の話をさせていただいてもよろしいでしょうか?」
「もちろんです。」
受付のキャリアウーマン風の綺麗なお姉さんの言葉に内心でガッツポーズ。
向こうから話を振ってくるってことは私のスキル(得意分野)に合致するお仕事があるってこと。
つまり話がまとまる可能性が高いのよね。
ちなみに私のスキルは『家事全般』『料理』『事務』『コミュニケーション』『洞察力』『空気が読める』
まんま人生経験が反映されたスキルです。
「青騎士団の詰所に併設されている食堂で長年働いていた方が数名、ご高齢のため退職されることになりまして。何千人分もの食事を賄う大食堂ですので数名抜けてしまいますとかなりの痛手なのですが、後任の方の募集は大変と申しますか…なかなか難しいんですよ。いろいろと。」
苦笑するお姉さんに『あー。あの騎士団のですもんね~。』と心の中で大きく頷いてしまう。
いくら人手ほしくても大々的に一般募集なんてできないよねぇ。
確実に女性応募者が殺到して大パニックになるのが目に見えてるんだもの。
ヨルンさんとエリスさんしか騎士団員を知らない私でも容易にその惨状が想像できます。
「あのー。私も一応若い女性なんですけど。いいんでしょうか?」
「ええ。もちろん承知の上でお話させていただいています。登録手続の際にお話した印象といいますか私の勘ですけれどね。スキル的にも申し分ありませんし。この件は騎士団長様から私に一任されておりますので。」
あらら。このお姉さん出来るな。
騎士団長さんからこんな重大任務を一任されてるだなんてかなり信頼されてる証拠だし。
というわけでトントン拍子に面談の日程が決まり。
なんと採用試験は明後日。
団長さん、副団長さん、食堂の責任者、受付嬢のネリアさんにランチを作って食べてもらうことになりました。
近寄らないようにしようと思ってた青騎士団だけど。背に腹は変えられないよね〜。
お給料いいんだもん。




