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覚えていた

ぶつりと映画のフィルムが切れたかのように現実に戻る。

息が止まっていたかのように、大きく激しく息を吸った。

目を見開き、ただひたすら天井を見渡す。

いつもの無機質な部屋に戻ったのだと理解するのに時間がかかった。


「あの夢はなんだったんだ…」

冬の朝だというのに体は汗ばんでいた。


全ては覚えていなかった。断片的なイメージが頭の中に残っていたが、強烈に覚えている事はあった。


顔の見えない女がいた事

そして 僕が知っている微笑みと声だった事


深く考えようとすると、安ワインの影響で酷い頭痛が邪魔した。

心が無理矢理にでも蓋をしようとした。

だけど、わかっているんだわかっているんだわかっているんだ…


夢の中でさえ狂ってしまった事、欲望にまみれてしまった事に僕は腹を抱えて笑った。


「診察の日が楽しみだなあ」


誰か僕を認めて

それが異常者だと蔑む声だとしても

僕はそれだけで前に進めるんだ


「夢にまで見てごめんね…桐谷さん」


僕は小さく、小さく言葉にした。

そして子供のように枕で声を抑えながら泣きじゃくった。

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