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悪夢

また僕は夢を見ていた。

僕は大きな砂時計の中に閉じ込められ、小さな粒達が徐々に僕を侵していった。

砂時計から脱出する術もなく、一人の女が目の前で特等席を作り微笑んでいた。口元だけで顔までは見えない。


いつか見たその微笑み。

「逃げられないのよ」

いつか聞いた気がする声。


「あの時のデートは素敵だったわ。だからお礼にコレを用意したの」

理解不能な言葉を目の前の女は言い続けた。

『何を言ってるんだ!』

胸元まで来た砂に体の動きを封じられながら叫ぶ。

女はあいかわらず微笑む。

「貴女が欲しがってた一番のモノをあげるわ」

女はゆっくりと脚を組み替える。

「ゆっくりと全てを受け入れていけば楽になれるわ」

息ができるかどうか身動きできるかギリギリのラインまで砂が迫る。ジャリジャリと口の中で嫌な音を立てるのを関係なくもがく。


「ほら…貴女が欲しがってたモノがもうすぐ手に入るわ」


「貴女が前に見た夢のようには優しくできなくてごめんなさいね?」


呼吸を奪われ、薄れていく意識の中、僕はその声を聞きながら柔らかな風を思い出していた。誰かの手をとって、言葉に頷いて…

そして口に広がるマドレーヌと、ジャラジャラと山をなす苦い薬達…


「貴女を愛しているわ」


そこで夢が途切れた。

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