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俺は魔法を使いたい  作者: 山宗士心
第1章 俺は異世界で発育する
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第3話 俺は痛みを隠そうとする

 寝返りの時期を無難に過ごし、ついにハイハイ出来るようになった。


 これで移動出来る。何処まででも進んで行けるぞ。


 まあ部屋からは出られないんだけど。


 部屋から出ようと扉や窓に向かうと、見張ってる乳母に回収されるからな。


 あ、そうそう。乳母さんの名前がマルテであることが判明した。

 その他に乳兄弟がマリー、名前からして女の子だよね。それから姉がアリー、母がリリーだと思う。


 じっと集中して聞いていれば、固有名詞は分かるんだな。会話に何回も出てくるから。

 固有名詞以外は難しいな。自分で喋って、間違っていたら訂正してもらわないとダメだね。


 文字は全く読めない。普段暮らしている部屋であんまり文字を見ないんだよなぁ。

 時計とかカレンダーがあれば数字も学べそうだけど、それもない。地球と時間の流れが異なる可能性はあるけど。


 まあ子供部屋はこざっぱりとした方がいいのかね。子供は何でも口に入れるっていうから。


 ん?どうしたの、マリー。何かして遊ぶ?


 マリーも俺に慣れたのか泣かなくなった。


 でもたまに体調を崩すんだよね。体調崩すと治るまで隔離される。今日は久しぶりに帰って来たから嬉しそうだ。


 俺は体調崩さないよ。治癒魔法のお陰でいつも元気。


 さて、何をして遊ぼうかな。


 おもちゃとかないんだよね。積み木でもあればいいんだけど。ハイハイで追いかけっことかする?


 はいはい、叩かない叩かない。


 眼は危ない。何でも触ろうとしないで。


 よし、そんなに触りたいなら俺は逃げる。マリーが追いついたら勝ち。追いつく前に向こうの壁に行けたら俺の勝ちね。


 よーい、どん。


 どうだ、俺のハイハイは。追いつけないだろ。腕だけじゃなく足も上手く使って推進力を得るのがミソだ。この速度で移動すると普通の子はきっと擦過傷になるぞ。勝手に治癒する俺には関係ないけどな。


 タァッッチィ。


 いえーい、俺の勝ち。


 よいしょ、よいしょ。ハイハイって上手く方向転換出来ないよね。真後ろを向くのに時間がかかる。


 旋回中もまだ追いつけないか。だいぶ差がついたみたいだな。


 って、おいいい、動いてないじゃないか。


 追いかけっこを理解してくれなかったんだな。もうちょっとゆっくり、付かず離れずを意識したら良かったのかも。


 さて、マリーの元へ帰るか。ほんと、やることないな。





 お、姉さんいらっしゃい。


 今日はどんな魔法かな。


 最近はどんどん器用になっていくよね。火と土を色んな形に出来るようになった。人型とか動物型とか。動物の詳しい種類まではわからないけど。土でブロックを作ってくれたら、積み木の代わりになるんだけどな。


 手ぶらなところを見ると、土魔法じゃない。


「ゲオルグ」


 名前を呼ばれたから姉さんの方を向く。


「あうう」


 急に風が吹いて顔に当たる。思わず目を瞑って、声を出してしまった。


 室内で風?これも魔法?


 姉さんが笑っている。風が当たった時の俺の顔が面白かったのかな。


 気に入ったみたいで風を連発してくる。目を開けられないんだけど。


 マルテ、助けて。


 乳母のマルテに向かってハイハイで逃げるぞ。


 姉さんが逃げる俺の後ろから風を吹かせる。追い風となってハイハイのスピードが上がる。


 ちょ、ちょっと速すぎる。次の手を出すのが間に合わない。


「ああうう」


 手が出ず、手首、肘、肩とついて、転んでしまう。そのままゴロゴロと横になって回転しながら、マルテのところまで転がされた。

 手首をついた時に捻ったかな、泣くほどじゃないけどちょっとだけ痛い。


 痛いのが顔に出ていたのか、マルテが俺を抱き上げる。心配しているんだろうが何を言っているかわからない。


 痛くないよ、大丈夫だよ、元気だよ。


 満面の笑みで元気アピールをする。大丈夫だから姉さんを怒らないでね。


 姉さんが近寄って来た。心配してくれたのかな。大丈夫、もう痛くないから。


 姉さんの魔法技術は進歩しているみたいだけど、たまに力加減を間違える。その度に俺は怪我したり火傷したりするんだけど、俺は全力でフォローしている。


 ちょっと火の勢いが強過ぎて、手に割と目立つ火傷をしたことがあった。マルテもその場に居たからすぐに見つかって、結構な騒ぎになっちゃったからな。多分怒られたんだろう、一時期姉さんがしょんぼりしてた。姉さんのそんな顔は見たくないから、俺は頑張っています。


 どう?安心した?楽しかったアピールを受け取ってくれ。


 理解してくれたのかマルテが降ろしてくれた。その後マルテは姉さんを呼んで、話を始めた。怒らずに魔法の調整方法を教えてね。


 ふぅ、アピールも疲れるな。ちょっとゆっくりしよう。


 どうしたのマリー。ちょっと疲れただけだから大丈夫だよ。


 痛い痛い、叩かないでよ。だから眼はやめて。


「あうう」


 これは危ない、マルテ助けて。姉さんよりも、自分の娘を叱ってくれ。

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[気になる点] 主人公は生まれを周りから疎まれているのですか? それともこの世界では乳飲み子に魔法を浴びせて育てる習慣があるのですか? 自分に危害を加えられて主人公は何故嬉しいのですか?ドMなのですか…
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