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俺は魔法を使いたい  作者: 山宗士心
第13章
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第34話 俺はイルヴァさんの記憶を巡る

「てめえら!どういうつもりだ!」


 後頭部を攻撃された痛みとアントンに逃げられた恨みを怒りに変えて、ゲラルトさんは吼えました。


 ゲラルトさんの足元には小さな土塊が転がっています。あれが、ゲラルトさんの注意を逸らす目的で放った土魔法でしょう。


「す、すみません。当たってしまったのは謝ります。しかし、こちらにも都合が有るんです」


 3人組の1人が反論して来ましたが、威圧感満載のゲラルトさんの顔を見て及び腰になっています。


「都合?なら俺の都合で、俺がこれからお前らをぶん殴ってもいいんだな!」


 そう口にしながらゲラルトさんは相手に飛びかかろうとしましたが、


「ちょっと待って下さい!」


 と口にしながら、私はゲラルトさんの腕を引っ張りました。


「ちっ!なんだよ!」


 動きを止められたゲラルトさんの怒りが私に向きましたが、私は怯みません。


「ゲラルトさんの暴走を止めるのが、今の私の仕事です。落ち着いてください」


「落ち着いてられるか!」


「それでも、落ち着いてください。ゲラルトさんが暴れては、彼らからヘルミーナさんの話を聞けません」


「あっ!逃げるな!」


 私がゲラルトさんを抑えている間に、3人組は屋上から逃げ出しました。


「わかった!あいつを殴らないから、今は追いかけて話を聞くぞ!」


 ゲラルトさんの言葉を信じて、私は掴んでいる手を話しました。




「ようやく見つけたぞ!他の2人はどうした!」


「ひっ!」


 校舎を出たところで、物陰に隠れようとしていた3人組の1人を見つけました。先程反論して来た男の子では無く、女の子でした。


「待て!お前に手を出すつもりは無い!話を聞かせろ!」


「ごめんなさい!」


 ゲラルトさんのドスの利いた声に怯えた女の子は再び走り出そうとしましたが、


「あうっ」


 振り向いた瞬間、通りがかった男とぶつかり、地面に倒れてしまいました。


「大丈夫ですか、お嬢さん。あんな乱暴者に追いかけられるなんて、大変ですね」


 女の子の手首を掴んで助け起こした男が、ゲラルトさんに蔑むような視線を向けて来ます。


「てめえには関係無いだろうが、ホラーツ!」


 せっかく落ち着いていたゲラルトさんが再び興奮して咆哮します。


 女の子がビクッと反応し、ホラーツと呼ばれた男は涼しい顔で笑みを返しました。ホラーツの手は、まだ女の子の手首を掴んでいます。


「残念ながら、僕もこの子に用が有るんだ。ヘルミーナの件でね」


「えっ?」


 女の子は怯えた顔をホラーツに向けています。


「その理由は分かってるよね?ヘルミーナを何処へ逃したのかな?」


「わ、私は知りません!」


「そんな事は無いだろう。貴女達が僕の仲間の邪魔をして、ヘルミーナの逃亡を助けたのは知ってるよ?」


「わ、私は「その手を離せ!ホラーツ!」」


 今度は私が止める間もなく、ゲラルトさんがホラーツに殴りかかりました。


「ちっ!」


 慌てたホラーツが空いている手をゲラルトさんに向けて、火魔法を発動します。


「イルヴァ!」


「はい、対処済みです」


 ゲラルトさんへの返事を口にする頃には、私の水魔法が相手の火魔法を打ち消していました。


 しかし。


「うおっ!」


 別の方向から飛んで来た土魔法が、ゲラルトさんの足を止めました。本当に突然の事で、私もその土魔法には対処出来ませんでした。


「ふぅ。僕達の邪魔をしないで欲しいね、ゲラルト」


 ホラーツがそう言うと、私達を取り囲むように数人の男が現れました。その中の1人が、先程の土魔法を放ったのでしょう。


「なるほど、ラウレンツの一派か」


 周囲の顔触れを確認したゲラルトさんが、吐き捨てるようにその名を口にしました。


「最近は大人しくしてると思っていたが、今回は何をやらかす気だ!?」


「さあ、なんだろうね。取り敢えず、ゲラルト達は邪魔だから退場してもらおうかな」


 周囲の男達全員が火球を生み出し、私達にその矛先を向けています。


「あまり派手な魔法を使うと、大会中とはいえ流石に教師が口を出して来るぞ」


「大会の熱気に当てられて喧嘩が始まるのは毎年の事さ。大した問題じゃない」


 ホラーツがニヤリと口角を上げ、ゲラルトさんは盛大な舌打ちを返しました。


「では、や「あ、あの!ヘルミーナさんの居場所は教えるので、乱暴は止めてください!」」


 ホラーツが攻撃命令を出そうとしたその時、腕を掴まれている女の子が声を上げました。


「わ、私とその2人に危害を加えないのなら!」


 声を震わせて話す女の子に、ホラーツは笑顔を向けながら、


「やれ」


 と短く指示しました。

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