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俺は魔法を使いたい  作者: 山宗士心
第2章 俺は魔法について考察する
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第39話 俺は魔導具について教わる

 ソゾンさんを見送った後、使用人に頼んで冒険者ギルドへ行ってもらった。

 ギルド経由でグリューンの父さんへ連絡して、帰って来る日を確認してもらう。

 ソゾンさんを待たせるのは良くないよね。


 朝早くから遊びに出かけていった姉さんは夕飯まで帰って来ないだろう。

 姉さんの行動範囲はエマさんの家かソゾンさんの鍛冶屋か魚人族の所だ。

 どこに行っても仕事の邪魔をしていそうで怖い。




「師匠の魔導具を見たの?いいなぁ、私も明日見に行こう」


 帰って来た姉さんにソゾンさんが来たことを話したら、羨ましがられた。今日はソゾンさんの所に行かなかったようだ。

 でも急いで帰っていったから、今は忙しいみたいだよ。


「どんな魔導具だった?面白い物あった?」


 父さんの温室用だから面白いかどうかは分からないけど。


「ええっと、熱風が出る魔導具と、送風換気をする魔導具。あとは湿度を管理する魔導具だったかな」


 稼働させてはないからどう動くのかは教えられないよ。


「ふむふむ、全部温室用か。温室を管理するのってお金かかるんだね」


 そうだね。父さんがひいひい言ってそうだ。

 ソゾンさんに聞けなかったことを聞いてみよう。


「ソゾンさんは火魔法が出る魔導具をどうやって作るの?」


「魔導具を動かすには核となる物が必要になるんだ。核には地中から採れる鉱石か、魔物から獲れる魔石を使うの。魔石に術式や魔方陣を刻み込むと、魔石から魔法が発動する魔導具が出来るんだよ」


 自慢げに話すねぇ。


「術式って言霊見たいな物?」


「んー、私達が普段使っている言葉とは違うんだ。数字と文字の羅列で、私には書いてる内容はさっぱり。師匠は昔のドワーフが作った言語だって言ってた。もっと大人になったら教えてくれるって」


 へぇ、別の言語があるのか。

 でも転生の時にマギー様は皆同じ言葉を話すから言語理解は要らないって言ってたと思うんだけど。

 話し言葉じゃないから除外したのかな。


「じゃあ姉さんは魔導具を作れないんだね」


「その方法ではね。鉱石を核に使う方法でなら作れるよ」


「魔石の場合とどう違うの?」


「鉱石をちょちょいと細工して魔法を封じるんだよ。封じた魔法はいつでも放てるんだ。1回しか使用できないけど、鉱石が壊れるまで何回も魔法を封じられるからね」


 この前父さんに温室の事を説明していた時と比べて話し方が流暢だ。自分の物にしている証拠だね。


「封じ込める魔法が使えないと、鉱石で魔導具は作れないんだね」


「そういうこと。でも難しい術式とか要らないから、こっちの方が簡単だよ」


 何種類も魔法を使える姉さんなら鉱石の方が楽だろう。


「魔導具から魔法を発動させる時って魔力を使うの?」


「魔石の方は必要だけど、鉱石の方は要らないね。だからこの前クロエに鉱石の方を一つ渡したんだ。水が出るブレスレット型の魔導具なんだけどね、水を汲みに行くのが面倒な時に使って貰おうと思って」


「でもクロエさんだと魔法を補充できないよね」


「お祖父ちゃんもお祖母ちゃんも水魔法が使えるからその都度補充してくれるよ」


「そっか。でもいいね、俺も魔導具欲しいかも」


「え?ゲオルグも持ってるでしょ?」


「うえ?持ってないよ」


「そんなことないって。ゲオルグの部屋にあるから」


 そういうと姉さんは俺の手を引っ張って駆け出した。なんで姉さんの方が俺の部屋の事に詳しいんだ。

 ちょ、急に引っ張ったら足がもつれるから。




「これこれ、ゲオルグが誕生祭の時に貰った剣」


 それは俺の部屋に大事に飾ってあった剣。姉さんに貰った切れ味の良いナイフも並べて壁に飾ってある。


「この鍔の部分と柄頭に赤い鉱石が嵌ってるでしょ。これに火魔法が封じ込められているから、魔法を2発放てるよ」


「へぇ。でもなんでそんなこと分かるの?魔導具作ってるとそういうの分かるの?」


「いや、この剣を作ったの、私だから。鉱石も輝いてるし、魔法は無くなってないはずだよ」


「え、ほんとに?」


「鍔の裏側を見てみて。鉱石がついてない方。そこにアールエックス95って書いてあるでしょ。私が作った95番目の作品だよって意味。ナイフの方は47番だったかな」


 確かに書いてある。

 壁にかかってるナイフの方も見てみると、しっかり47と刻印されていた。


「全部で100本作ったんだけど、なぜかゲオルグに渡されたみたいだね。大分前に金属魔法の練習用として作ったから、あんまり良い出来じゃなくて恥ずかしいんだけど」


 どの辺が気に行ってないのか分からない。刀身も綺麗だしグリップの感じも悪くない。


「鍔の部分の装飾がちょっとね。それと練習用だからそれほど良い鉱石を使えなかったんだ。もっと良い石を使ってたら凄く大きな炎を入れられたのに」


 質素な装飾だけど、俺はこの剣が好きだよ。


「ちょっと使ってみたいんだけど、いいかな」


「いいよ、使った後はいつでも魔法を補充するからね。でももう暗いから明日にしたら?」


 そうだね、家の中で魔法を使ったら怒られるどころでは済まないね。

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