表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺は魔法を使いたい  作者: 山宗士心
第2章 俺は魔法について考察する
53/907

第17話 俺は剣の稽古から逃げ出す

 2月の誕生日に次の目標を定めて以来、姉さんは精力的に活動していた。


 俺の提案通りに街を訪問してエルフを探す。

 しかしアンナさんにも黙っているからあまり大々的に聞き込みなどが出来ず、3か月経ってもエルフは見つかっていない。


 ヴルツェルでは爺さんから小さな畑を借りて作物を育てている。

 ヴルツェルは寒いから種を蒔いたのは4月に入ってからだ。

 何を育ててるのか聞いたけど、秘密って言われた。姉さんは秘密主義だよね。顔にすぐ出るから作物の名前言っていったらわかると思うけど。

 姉さんがヴルツェルに居ないときは獣人族のクロエさんが管理しているらしい。美味しい作物が育つようによろしくお願いします。


 姉さんは最初嫌がっていたのに、意外と植物図鑑を気に入ってくれた。

 気に入ってくれたのは嬉しいんだけど、ヴルツェルにも持って行くようになってしまった。

 図書館からの借り物なんだから落として無くさないでよ、と言い聞かせているが大丈夫だろうか。

 雨の日も風の日も関係なく飛び回るらしいから心配だ。


 俺も姉さんを助けるために図書館に通い、王都を散策してエルフ族が居ないか探している。

 俺にはマルテがついてくるから、こっちも聞き込みはし辛いんだけどね。


 家に居ずに外に出るのは、姉さんを助ける以外の理由もある。

 ジークさんから逃げるためだ。


 5月の誕生日で4歳を迎えた俺は、ジークさんから剣をプレゼントされた。

 ソゾンさんに作ってもらった特注品だそうで、とても軽い。軽くしたため衝撃には弱く、武器としては扱い辛い。素振りをしたり型を学ぶために用意したそうだ。


「4歳を過ぎて肉付きもよくなってきました。王国貴族は魔法が重用されますが、剣術も必要です。そろそろ剣の稽古を始めましょう」


 というのがジークさんの言だ。

 自身の二人の息子も同じ歳から剣を教え始めたらしい。兵士の剣術教官も担っているから、人に教えるのは得意なんだろう。


 でも、嫌なんだ。

 剣は嫌なんだよ。

 俺のことを考えて剣を教えようとしているのは分かるけど、やっぱり無理だ。


 そんな俺とジークさんを見て、父さんと母さんは何も言わない。マルテは強要するなと言ってくれる。

 ジークさん以外は剣を握れと言わない。

 でもジークさんも、家から逃げだした俺を追い詰めるようなことはしない。

 みんな俺の意志を尊重しようとしてくれている。ありがたい。




 5月が終わりに近づいても、エルフ族には出会えなかった。

 もうとっくに王都とヴルツェル間の街は調べ終わり、フリーグアイスクリームが出店している街の調査も終了した。

 今は図書館で借りてきた地図から大きそうな街を選んでいる。

 ヴルツェルは王都から西にあり、フリーグアイスクリームが出店している街も西に多い。そのうち国中に広げるつもりらしいが、まずは輸送を考えて近場に出店したそうだ。

 だから西側の大きな街はすべて調査済みだ。西にある小さな村々には、立ち寄る理由を作り辛いから行けてない。

 そろそろアンナさんに相談した方がいいと思うんだけど、俺から勝手に言うのも良くないかと思って黙っている。


「隊長、昨日いい情報を手に入れました。国外ですがエルフ族の集落がある、という情報です」


 ヴルツェルから帰ってきた姉さんに、びしっと敬礼して伝える。

 昨日久しぶりに図書館のドワーフ族職員であるメーチさんに会った。普段は図書館の奥に引っ込んで出てこないからね。マルテに隠れてエルフ族の事をこっそり聞いてみたら教えてくれた。

 メーチさんが言うには、国外ならエルフ族の集落があるが、この国には無いらしい。

 その集落は大きな森林の傍にあり、林業と農業で生計を立てているそうだ。


「なんでそんな言い方なのかわからないけど、さすがに国外には行けないよ」


 ですよね。でも情報はそれだけじゃないよ。


「この国で働くエルフ族は仕事柄だいたい領主のお抱えになることが多いんだって。だから領主が住む街を探した方がいいって教わったよ」


「なるほど。草木魔法だから森や畑の近くにある街を探してたけど、そうじゃない街にも行った方がいいかもね」


「そうなると東の湾口都市キュステ、北の城塞都市ベルクブルク、南の炭鉱都市エルツ。そこら辺りが大きな街で行ってないところになるね」


 海も砦も鉱山もエルフっぽくないよね。俺の勝手なイメージだけど。


「キュステには行かないよ」


 うん、知ってるよ。姉さんの嫌いな爺さんが居る街だからね。

 この爺さんは母方の祖父で、この国の四方の国境を守る辺境伯の1人。領地が王国の東側だから東方伯と呼ばれている偉い人なんだけど、スキンシップが強引過ぎるから姉さんは苦手らしい。

 俺としてはキュステに行って貿易品を見てきて欲しいんだけどな。大きな港があって他国と交易する場になっているらしいから、もしかしたら米とかあるかもしれないじゃない。


「じゃあ北か、南か」


「んー、名前が似てるからエルツにしよう。美味しいご飯があるといいな」


 確かにエルフとエルツは似てるけど。

 姉さんはエルフ族の捜索がてら各地の美味しい食べ物を食べてくる。持ち帰り出来るものはお土産として持ち帰ってくれるが、俺もいつか現地に行って食べたい。


「鉱山に入って迷ったりしないでね」


 色々な物に興味を持つ人だからね。無理して鉱山に入るとか止めてよ。


「大丈夫大丈夫。小さな山なら土魔法でどうとでもなるから。任せといてよ」


 鉱夫の命の方が心配になるから止めて。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ