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俺は魔法を使いたい  作者: 山宗士心
第7章
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第13話 俺は噂の出所を考える

 魔力検査の結果は、王都の2か所で行われた結果と地方の街にある冒険者ギルドで行われた結果を合わせて発表される。


 ロミルダが検査を行った年は新たな賞を新設する事に手間取ったため発表が遅れたが、通常通りなら検査の翌日には優秀者の発表が行われる。


 ロジーちゃんの事が有ったから発表は遅れるかもと俺は勝手に思っていたが、今年も3月10日の夕方に検査結果が発表された。


 発表されるのは測定試験と技能試験の結果を合わせた総合上位3名と、その3名には入らなかったが卓越した魔力や魔法操作能力を見せた子に贈られる3つの特別賞だ。


 そして男爵家の村から検査に参加した5人はどうだったかと言うと。


 魔力検査総合第3位に重力魔法で土塊を制した女の子の名前が刻まれた。


 卓越した魔力量を見せた子に贈られる魔力賞にはロジーちゃんが、独創的な魔法を見せた子に贈られる創見賞には回復魔法で爪を伸ばした男の子が選ばれた。


 土魔法で大きな蛇を作った女の子や、金属魔法で巨大な剣を作った女の子は残念ながら選ばれなかった。でも俺はあの重力魔法がそこまで評価されるとは思わなかった。土の蛇や巨大な剣の方が分かり易いから。


 ロジーちゃんの結果について、冒険者ギルドからの説明は無かった。


 あのまま技能試験は失格となったようだ。


 残念だし、悔しい。


 この結果を聞いてロジーちゃんはどう思うかな。ローザリンデ様やローズさんはがっかりするかな。アミーラはまたロジーちゃんに文句を言うだろうか。魔力量では上位だったのに勿体無い事をしたと責めるかも。


 きっともう村の方にもこの結果は伝わっているはず。この結果を聞いたアミーラに虐められて、気落ちしていないといいんだけど。




 検査結果が発表された翌日。学校帰りの姉さんが男爵邸に立ち寄った。いつもならエステルさんと一緒にすぐ村へ帰るのに、珍しい事だ。


「エマが教えてくれたんだけど、鷹揚亭のお客さんがロジーちゃんの噂で盛り上がってたんだって」


 へえ、雷撃魔法が注目されているのかな。


「雷撃魔法もそうなんだけど、南方伯家の子が凄い魔法を使ったって話している人が居たみたい。どうやってロジーちゃんが南方伯家の子だって知ったんだろうね。検査の時には南方伯家の姓を名乗らなかったのにね」


 確かあの時は、ローザリンデ様の実家の姓を名乗っていたはずだ。ロジーちゃんを始めて見た人なら南方伯家縁の人とは気付かないだろう。南方伯家に居た頃のロジーちゃんを知っている人が偶々見ていたのかな。


「さあ、どうだろうね。じゃ、エステルを待たせてるから私は村に行くね。明日村で開かれる魔力検査のお疲れ様会にはゲオルグも忘れずに来てよ」


 うん、忘れてないよ。もう慣れた飛行経路だと思うけど、気を付けてね。




 姉さんが男爵邸を出て行った後、姉さんの話を思い返してみた。


 ロジーちゃんが南方伯家の娘だと広めている人が居る。広めたい人が居る?


 まさかローザリンデ様やローズさんが誰かを使ってそんな事をしているとか?


 いや、それなら魔力検査で南方伯家の姓を名乗れば良かっただけだからな。何のためにそんな事をするのかも想像つかないし。


 もしロジーちゃんが南方伯家縁の人物だと広めたい人が居たとして、それを広めて益が有るのは南方伯本人くらいだろうか。ロジーちゃんの才能を知って、慌てて取り込もうと動き出したとか?


「そんなにぶつぶつ言いながら考えたって答えは出ませんよ。立ち止まってぶつぶつ言うゲオルグ様をカエデ様が怖がっているので、やるなら自室に籠ってやって下さい」


 カエデを連れたマリーがしかめっ面で苦情を伝えて来る。


 自覚は無いんだけど、そんなに口に出てた?


「出てないと態々言いに来ませんよ。折角カエデ様がゲオルグ様と遊ぼうとして駆け寄ったのに。怖かったよね」


「うん」


 マリーの問い掛けに、黒猫のぬいぐるみを両手でギュッと抱きかかえているカエデが何度も首を縦に振って反応する。


 そこまで強く肯定されるとお兄ちゃん悲しくなっちゃうな。


「明日はまた村に行ってカエデ様達と遊べなくなるんですから、今日はしっかり遊び相手をしてあげて下さい」


 それならカエデ達も明日一緒に村へ行けばいいじゃない。


「私にその提案をされても困ります。男爵様かリリー様に直接そうお伝えください。じゃあサクラ様も待ってますから行きましょうか」


 俺はその日、ロジーちゃんの事を考える暇も無いくらい、カエデ達の相手をさせられることになった。

先日総合評価が500ポイントを越えました。

ブックマークや評価をして下さっている方、ありがとうございます。


そして誤字脱字報告も大変助かっています。ありがとうございます。


拙い文章ですが、これからもよろしくお願いします。

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