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俺は魔法を使いたい  作者: 山宗士心
序章 俺は異世界に転生する
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第4話 俺は転生を受け入れる

「桃馬さんの願いを聞くのは元から決まっていたので大丈夫です。ただ我々も万能じゃないということを考慮して頂きたいのと、暴力的なことはやめて下さい」


「願いか。不老不死には出来るか?」


「いきなり大きな話ですね。先程もお伝えしましたが、我々は肉体に関して手を加えることが出来ません。出来たらとっくに我々の計画は終わっています」


 計画って何だろうな。


「我々には出来ませんが、例えばメカニカルな異世界では、脳を残して全身を機械にする技術があるようです。そういった世界の人間に肉体改造をしてもらうとかどうですか?」


「肉体を機械化するのは神への冒涜じゃないか。」


「子孫さえ残してくれれば、その後の肉体改造はセーフです。機械化よりも遺伝子操作の方が気になりますね」


 神にとって不都合な遺伝子を作り出すかもしれないからか。


「不老不死を望んだのは、俺はもう病院に通いたくないからだ。今世も在宅医療にしてもらったが、やはり金がかかる。怪我をしない、病気にならない身体が欲しい」


「んー、その願いを実現するとなると、機械化か、魔法によって身体を保護するか、どちらかでしょうか」


「どっちも成長する間は出来ないんじゃないか?機械化してもらうまで、魔法を使えるようになるまでは体調を崩すかもしれない」


「生まれつきの機械化は無理ですが、魔法を施すことは可能です。剣と魔法の世界の神はそういうことが得意なので出来ると思います。ちょっと確認してみますね」


 そう言うと神は目を瞑って動かなくなった。異世界と交信してるのかね。

 生まれてすぐ機能するなら、機械化よりは魔法の方がいいか。もうほんとに病院には行きたくないんだよ。


「確認が取れました。方法は企業秘密だそうですが、怪我や病気をした時に、瞬時に回復魔法が発動するようにするそうです。名ずけて、インスタント リカバリー システム。IRS搭載型桃馬さんの爆誕です」


 拳を握りしめて力説している。言い方がなんかメカっぽい。魔法の世界でしょ?


「回復魔法があるなら今世の俺の肉体を」


「だからそれは出来ないんですって。こっちの世界には魔力が無いから魔法は使えません。人間が発達させた医療以上のことは出来ません。無力ですみませんね」


 なんで若干キレ気味だ。


「そのIRSは途中で効果が無くなったりしないのか?」


「ちょっと待って下さいね」


 また瞑想し始めた。1回目で細かいところも確認しておけよ。


「基本的に永久機関だそうです。オンオフ機能は無いそうですが、アンビリカルケーブルを使って充電する必要も無いそうです。それから向こうの神からの伝言ですが、あとはこっちで説明するから早く来い、だそうです」


 だからメカ感。

 もう行く世界が決まってるように聞こえるんだが。


「俺の行く世界はそこで決定?話を聞きに行って不満があったらキャンセル出来るのか?」


「キャンセル不可ですね。何回も移動すると魂が傷付きますので、移動は一度きりです。でも怪我や病気対策を優先するならIRSがベストだと思います」


 うーん。ちょっと保留。


「決定する前に他の条件を言っていいか?」


「そうですよね、条件は1つとは限りませんよね。どうぞ」


「これは一応確認なんだが、お前、妹にも何かしただろ」


「ドキィッ」


 そんなに驚いた表情出来るんだ。あと口でドキって言うな。口笛吹いて誤魔化そうとするな。音もなってないぞ。


「遺伝的に優秀なら、同じ親から産まれた妹もそうである可能性があるだろう。妹がたまに変なことを言ってたのは、あんたらが与えた力のせいだろ」


「ま、まあそうなんですけど。怒らないで下さいね。暴力は禁止です」


 怒ってないよ。


「もし、その妹に何かあった時、神から手助けをしてやって欲しいんだが、出来るか?」


「手助け、というと」


「本当は俺がずっと見守っていくつもりだったのに、誰かさんのせいで出来なくなったからな。アフターケアくらいやってくれよ」


「随分と過保護ですね。これが世に言うロリコンですか、初めて見ました」


 煩いな、ロリコンじゃないシスコンだ。


「出来るの?出来ないの?」


「他の神と相談し、前向きに検討しておきます」


 政治家か。


「他に条件は有りませんか?無ければそろそろ移動しますよ」


「妹を見守る条件が確定したら行く。世界はIRSの世界でいい」


「筋金入りのロリコンですね。わかりました、妹さんに何かあれば出来る限りのことをします。約束です」


 よかった。これで少しは安心できる。


「妹や両親に伝言は出来るか?」


「はあ、まだあるんですか。ご家族はまだ眠っているので多少は精神に干渉できますが、夢と思われるだけですよ。長文は無理です、一言二言なら可能です」


「それでもいい。妹には、約束守れなくてごめん、元気でね。両親には、先に逝きます、ごめんなさい。で」


「約束って何ですか?」


「妹が大きくなったら、でっかいバケツプリンを作るって約束」


「そうですか、では伝えておきます。もう他に無ければ、移動を開始します。目を瞑ってリラックスして下さい」


「なんだかんだあったけど、神さま、色々とありがとう。あとは向こうの神さまにお願いするよ」


 目を瞑って肩の力を抜く。長く息を吐いて深呼吸。


「いえ、こちらもご迷惑をお掛けしてすみませんでした。あちらの世界に行ってもお元気で」


 もう死んでるから元気じゃ無いけどな。


 上空から大きな手で摘まれるような感覚で、身体が浮き上がった。

 そのまま身を任せ、引っ張られていく。じゃあなアマちゃん、約束は守れよ。


 新しい世界は剣と魔法の世界か。

 剣はもういいかな。魔法を覚えたい。モンスターとかいるのかな。もし戦闘があるなら、後方の安全な場所から敵に魔法を撃ち込むのが理想的だ。


 何やかんや言いながら、新しい人生にちょっと期待している。

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[一言] 才能も肉体的なあれじゃないの?
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