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俺は魔法を使いたい  作者: 山宗士心
第5章
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第65話 俺を行方の目途を付ける

 マリーが地面に両手を付いて魔力を注ぐ姿を見て首を傾げている面々に、その理由を説明する。


 実はね、アプリちゃんが持って行ったバスケットには大量に南瓜の種を仕込んであるんだ。バスケットを分解しないと見つけられないところにね。

 それとエステルさんから貰った花の種もアプリちゃんは自分で持っているだろう。


 ロミルダも草木魔法を使うと地面の中に植わっている植物の種や根っこを見つける事が出来るよね?


 今マリーはそれを進化させて地面から離れている植物も探知出来るようになってるんだ。

 それを利用してアプリちゃんを探す。種が大量に固まって存在するのは珍しいからね。きっと識別が出来るはずだ。


「街の南側では特に感知できませんでした。次は西側に魔力を送ります。ロミルダ、私の後に続いてやってみて」


 街の中心部にある屋敷から南、王都方面へ向かって魔力を放ったマリーが結果を報告する。

 マリーの言葉に、自分には出来ないとロミルダが否定する。


「出来ないじゃなくて、やったことが無いだけでしょ。大丈夫、地面に魔力を注ぎながら、意識をちょっとだけ上に向けるだけだから。空中に浮かぶ火球や土塊を操作するのとあまり変わらないから」


 そういってマリーはもう一度地面に両手を付く。流石に全方位へ魔力を飛ばすには一度に大きく力を使い過ぎるから魔力を絞って4回行う。多分姉さんならこの街の規模でも一度に探知出来るんだろうな。


 マリーに倣ってロミルダも同様の動きをする。マリーが一度調べ終わった南に向けて魔力を飛ばす。


「西も問題有りません。次は北を調べます」


 一息つく間もなく体の向きを変えて次の範囲に魔力を飛ばす。

 マリーとは違い、地面から手を離したロミルダが大きく深呼吸をして体勢を立て直した。


「空中は地中よりも情報量が多くて頭が混乱します。マリーさんはよく何度も続けて使用出来ますね」


 初めてやるロミルダと違ってマリーは結構練習していたからね。ロミルダもそのうち慣れると思うよ。


 ロミルダと話をしている間にマリーは着々と作業を進める。北と東、後2回魔法を使ったら一応ザフトの街は調べ終わったことになる。既に街から外に出てしまっているとかなり厳しい。そうなったら姉さんやエステルさんの力も借りて捜索範囲を増やさなければ。


「居ました。北東方面。移動はしていません。ロミルダも見ておいて」


 よかった、街を出なかったな。動き始める前に急いで現地へ行こう。




 マリーの先導に従って俺達は大きな倉庫が立ち並ぶ区域にやって来た。


 この辺りが公爵領だった頃、大穀倉地帯の領内から集められた小麦や小麦粉がこの倉庫群に集められていたらしい。

 今、その領地は4人の人物に分割統治されていて、収穫された小麦はそれぞれの所で管理されてる。

 つまり、この大きな倉庫達は今はほとんど使われていないんだ。何かをするにはぴったりの場所という事だな。


「ゲオルグ様、先に俺と団員2人が1つずつ倉庫に入る。ゲオルグ様はマリーとルトガーと共にここで待機だ」


 勢いに乗って突入しようとしたらジークさんに止められてしまった。

 父さんにも緊急時の判断はジークさんに従うよう言われている。少し残念だけど、ここはジークさんに任せようか。


 更にジークさんはリカルドさんに裏口を倉庫の裏側を監視するよう指示。ロミルダもリカルドさんと離れ、俺達と一緒に待機することになった。


 倉庫の外で待っている間、マリーはもう一度草木魔法を使って探知を行う。


「さっきからバスケットはピクリとも動いていません。バスケットだけ捨てて移動している可能性もありそうですね」


 馬車の中でも大事そうに抱えていたアプリちゃんならバスケットを置いて行く事は無いと思うが、動いていないとなると既にアプリちゃんの手から離れているのかもしれない。そうなると次の方法で探し始めないと。


 何はともあれジークさん達が倉庫を調べ終わるのを待つしかない。




「倉庫内には1人の遺体と空になったバスケットが転がっていた。遺体は朝から行方不明になっていた護衛の者で間違いないだろう」


 案の定バスケットは捨て置かれたか。


 アプリちゃんと一緒に屋敷から居なくなっていた護衛が亡くなったのは残念だ。これでアプリちゃんも何か危ない事に巻き込まれていると言う事がはっきりしてしまった。根も葉もない噂話を信じて街中を探し回っているアプリちゃんというのが一番良い形だったんだけどな。


 早急にアプリちゃんを探して保護しなければならない。バスケットが無くなって感知の制度は落ちるが、マリーにもう一度頑張って貰おう。もしくは、姉さんを呼んでくるか。


『やはり面白そうな事をやっていたな。最近退屈していたんだ。私も参加させてもらうぞ』


 倉庫の屋根の上からひらりと舞い降りたアミーラが、尻尾をぶんぶんと振り回しながら話しかけて来た。

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